迷いネコ【黒尾鉄朗】 (ページ9)

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黒「夜ご飯もう作れる時間でもないしな。なんか買うか」

あ「…」

私の頭のなかはそれどころではない
前から見たことはあってもこんなに話したのは今日が初めて…

黒「おい、話聞いてんのか？」

あ「え、あ、はい！」

黒「じゃあ俺これ」

先輩がとったのはサンマの缶詰め

あ「缶詰めで足りるんですか？」

黒「いや、缶詰めしかなかった。」

あ「ふふっ…」

それでもサンマを買うんだ

黒「今笑っただろ」

あ「だって……」

笑いが止まらない

黒「おい。……もう野宿だな。」

あ「え！すみません！……」

とか言いつつ笑いが止まらない

黒「はい。野宿決定ー」

あ「それはダメ。本当にすみません！」

笑顔で返す

黒「こいつ。」

先輩は私のほっぺを引っ張る

あ「痛い痛い……」

黒「さっさと選べ」

選べってことは先輩の家で泊まっていいって
ことだよね…？

なんだかんだで先輩と一緒にいて楽しいかもしれない

結局私はあまりお腹が空いてなかったからサラダを選んだ。

黒「夜ご飯がサラダかよ」

今度は先輩が笑う

あ「サンマの缶詰めに言われたくないです。」

黒「ヒャッヒャッヒャッ」

あ「…。」

人の話聞いてない。

…

あ「先輩、缶詰め一緒に払いますよ！」

「1890円になります」

私はお財布からお金を取る

黒「はい」

あ「え？」

お金を出そうとすると先に先輩がお金を出す

黒「後輩に払わせるわけにはいかねぇだろ」

「おつりですねー」

先輩は買い物の籠を取り移動させる

あ「でも、先輩サンマの缶詰めだけ…」

ダメだ。サンマの缶詰めだけで笑ってしまう

黒「お前…お金払わせるぞ」

あ「お金なら払いますよ！」

黒「冗談だよ。お前なかなか面白いな」

先輩は笑う

あ「！//……お前、お前って私にもちゃんと名前があるんです！」

完全に照れ隠し状態

黒「あぁ。Aだろ？」

あ「！」

名前知ってたんだ…

黒「よし。そろそろ行くか！」

私達はなんとか閉店前にデパートを出ることが出来た。