猫との暮らし始まりました

7話 ページ9

私は火傷しないように淵を持ちながら一旦別の場所に避難させる

再びトレーの淵をつまみながらテーブルへと移動する

よし食べるか

いただきます、と呟いてからパスタを一口

冷食も侮れんよなぁ…普通に美味しいし

くるくるとフォークに巻き付け口に運ぶ


なぁん


すると私よりも早く食べ終えた秀が近づいてくる


「どうしたの？」


なぁん

問いかけると鳴き声が返ってくる

何がしたいんだろ…

小首を傾げていると、ひらりとテーブルに乗る


「あ、こら。今食事中だぞ」


秀に注意するが当の本人は気にする素振りもない

ちょっとは気にしてくれ傷ついちゃうだろ

しかし、どうやら秀のお目当ては私の昼食ではないらしく私のパスタには見向きもしない

もうちょっと気にしてくれたっていいだろ…

そんな「私と仕事、どっちが大事なのよ⁉⁉」と問い詰める面倒くさい彼女のような思考に陥る

この場合、比べる対象はパスタと私だが


「…リモコン？」


ぐいっと頭で押しながらこちらに持ってきたのはリモコンだ

ある程度近づくと、低く鳴く

…これは貢物？

いやなんか違う気がする…

私は何気なくリモコンを手に取り問いかける


「テレビ見たいの？」


なぁん

もしや、と思い問いかけてみるとどうやら辺りらしい

ね、猫がテレビ見るのか…

なんて思いながらテレビをつける

すると丁度ニュースが流れる

秀はひらりとテーブルから降りるとテレビが見える場所に陣取った


『次のニュースです。えー、選挙管理委員会は…』

「今日も平和だねぇ…」


流れてきた政治の話を聞き流しながらパスタを頬張る

秀の様子をちらりと見る

真剣に画面を見つめる秀はどうみても猫の振る舞いには見えない







ただ一つ分かるのは

秀はただの猫ではない、ということだけだ

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