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34話 ページ36

今日は講義がない日なので、思う存分遊べる

私はルンルン気分で本を取り出した

─のだが


「…秀」

「何だ」

「絶対暇だよね」

「…正直に言えばそうだな」


私は気が付いてしまったのだ

秀が物凄く暇だということに

そう、人間に戻った秀は何も暇を潰すものがない


…何か良いものなかったっけ


私はページを捲る手を止め、考える


そこで思いつく


無言で立ち上がり、自室へと行く

本棚からある本の前編と後編を取り出し持っていく


「これでも読む?私のおすすめ」

「ホォ―、ホラーミステリーか。面白そうだな」


私が手渡したのは、ホラーとミステリーが混在する本だ

日本を代表する作家で中々に面白い

ちなみに漫画もあるらしいが、こういうものは文章で楽しむからこそ面白いと思う

秀は表紙をじっと見つめていたがそのうちの一冊を捲りパラパラと読み始める


…飲み物でも淹れるか


私はそのままポットを取り出し、紅茶の準備をする

耐熱ガラスで出来ているので紅茶の色がとてもよく分かるので重宝している

お湯を沸かしている間に、茶葉をティースプーンで量り茶こしに入れる

暫くは沸かないので茶葉を片づけた後、自室から砂時計を取ってくる


…イケメンは何してもイケメンなのね


ちらりと、秀を見る

長い足を組みゆったりと座って読書をしているのだが、絵になるのだ

私はその横を通り過ぎ、キッチンへと行く

丁度、お湯が沸きそうになったところで火を止める

ポットにお湯を入れ、砂時計を逆さにする

砂が落ちる音を聞きながら魔法瓶に残ったお湯を入れる

時折、ポットの中身を揺らしながら砂が落ちるのを待つ

聞こえてくるページを捲る音

砂の落ちる音

時計の秒針の音

互いに何も話さないから普段は聞こえてこない音が聞こえてくる

この静かな空間は不思議と嫌な静かさではない

砂が落ち切ったことを確認し、茶こしを取り出す

あらかじめ用意していたマグカップに紅茶を注ぎ、リビングへと持っていく

ゆったりと座っている秀の目の前のテーブルにそっとマグカップを置く


「ありがとう」

「いーえー」


それに気が付いた秀が顔を上げる

短く礼を言うとまた読書へと戻っていった

私も紅茶を一口飲み、本を開く



ずっとこの時間が続けばいいのに


そんなことを頭の片隅で考えながら

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ぞーきん。(プロフ) - 沙代さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて何よりです!公式頑張らせていただきますね!! (2021年6月25日 8時) (レス) id: e337d5f43a (このIDを非表示/違反報告)
沙代 - 作者様の書く紳士で優しい赤井さんが好きすぎます、、!!笑笑公式頑張ってください!応援しています。(^^) (2021年6月25日 7時) (レス) id: b5b0d31a8f (このIDを非表示/違反報告)
さき。(プロフ) - 読みたいです!!!!!!!!!!!! (2021年6月24日 22時) (レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
やよい@小悪魔(プロフ) - 番外編読みたいっすわ!!!() (2021年6月24日 22時) (レス) id: bc461f0e02 (このIDを非表示/違反報告)
ぞーきん。(プロフ) - ねこみみさん» ねこみみさん閲覧ありがとうございます!あの方はきっと全猫が振り返るほど美猫ですよきっと…猫ちゃん飼ってらっしゃるんですか!?可愛いですよね…癒しです… (2021年6月22日 14時) (レス) id: 440cfac776 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぞーきん。 | 作成日時:2021年6月19日 16時

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