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32話 ページ34

「秀一」


名前を呼びながら近づけば、こちらを見る秀

それにつられて女性二人もこちらを見る


おーおー、見事に殺気立ってんねぇ、美人が台無しだよー?


なんて心の中で思いながら秀の隣に立ち、手を握る

勿論、恋人繋ぎである

そんな私の様子にその場にいた三人が驚く

私は気にも留めず女性二人を見てにっこりと微笑んだ


「ごめんね、お姉さんたち。私たち今『見ての通り』デート中なんだ」


こてん、と首を傾げながら言えば青ざめる二人

少しだけ強調して言ったら分かってくれるんだよねー

私が何を言いたいのか

相手に何も言わせない

言わせる隙も与えない


「秀一を待たせてる間、『話し相手』になってくれてありがとう、私たちもう行くね」


バイバイ、と小さく手を振りながら歩き出す

秀も手を引かれるがままに歩き出す

女性二人はただ茫然とこちらを見送るばかりだった

ある程度、距離を取ってから手を放す


「ごめんね?まさかこの時代にもなって逆ナンなんてあるとは思わなかった…」

「いや、大丈夫だ」


謝れば少し間があってから返される

何故


「しかし、驚いたな。Aがあんなことをするとは思わなかった」


車に荷物を置き、そのまま車に乗り込んだところでようやく秀が話し出す


「んー?まぁ、大抵の人って恋人っぽくしとけば何とかなるからさー」


車のキーを差しながら、答える

彼女たちはしつこいタイプではあったが、恋人だと言えば諦めそうなタイプだった

秀が黙っているのを良いことにずっと誘ってたからなぁ

丁度目的のスーパーに着き車から降りる



歩き出そうとした瞬間左手に温かさを感じる

見れば、秀が手を繋いできた

思わず彼の顔を見る

当の本人は小さく笑ってからこう言った


「今日は『デート』なんだろう?」

「…それ引き摺るの?」

「Aがそう言ったんだろう」


…失言だったか


何て返そうか迷っていると、するりとごく自然に恋人繋ぎになる


「…駄目か?」


…その聞き方はズルいと思う

手を放そうと試みたがあまりにも真剣に見つめてくるから離せそうにない

少しだけため息を吐いてから言った


「あとスーパーに寄って帰るだけだからデートも何もないけどね…まぁ別にあとちょっとだし、良いよ」


手を離すことを早々に諦め、仕方なく一緒に歩き出す







































─秀に手を繋がれても嫌じゃなかったのはここだけの話

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ぞーきん。(プロフ) - 沙代さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて何よりです!公式頑張らせていただきますね!! (2021年6月25日 8時) (レス) id: e337d5f43a (このIDを非表示/違反報告)
沙代 - 作者様の書く紳士で優しい赤井さんが好きすぎます、、!!笑笑公式頑張ってください!応援しています。(^^) (2021年6月25日 7時) (レス) id: b5b0d31a8f (このIDを非表示/違反報告)
さき。(プロフ) - 読みたいです!!!!!!!!!!!! (2021年6月24日 22時) (レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
やよい@小悪魔(プロフ) - 番外編読みたいっすわ!!!() (2021年6月24日 22時) (レス) id: bc461f0e02 (このIDを非表示/違反報告)
ぞーきん。(プロフ) - ねこみみさん» ねこみみさん閲覧ありがとうございます!あの方はきっと全猫が振り返るほど美猫ですよきっと…猫ちゃん飼ってらっしゃるんですか!?可愛いですよね…癒しです… (2021年6月22日 14時) (レス) id: 440cfac776 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぞーきん。 | 作成日時:2021年6月19日 16時

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