猫との暮らし始まりました

29話 ページ31

「じゃあ、一コマだけ講義あるから受けてくるね。行ってきます！」

「いってらっしゃい」


玄関先まで見送りに来てくれた秀と少しだけ話してから、扉を閉める

あの後は普通にご飯食べて、普通にお風呂入って、普通に寝ましたよ？

でも、なんだか不思議だ

今まで一人…ではなかったけど、誰かと家で一緒にご飯を食べることがあまりなかったから

今日のお昼は何を食べよう

考えていたら大学に着き、講義室へと歩く

自由席なので席取り合戦だ

しかし、私が着く時間は他の人よりも早いので席に困ったことはない

悠々と席に着き、ついでに友達の分の席も取っておく

ふっふっふ私に感謝するんだな‼‼

内心ドヤ顔しながらパソコンを用意し起動する

起動している間にスマホの音楽アプリを起動し、ワイヤレスイヤフォンを耳にはめる

友達が来るまでの間は、基本的に音楽を聴きながら課題をしていることが多い

カタカタと打っていれば横に見慣れた姿が見える

イヤフォンを片耳だけ外しながら、挨拶する


「おはよ」

「はよー」


軽く答えると、友達はリュックからパソコンを取り出し私と同じように起動させる


「そういや、メールでさー、新しい課題出てたじゃん？やった？」

「丁度今やってるー」


二人してパソコンの画面を見ながら課題を終わらせにかかる

ちなみにこの会話の間、一切互いの顔を見ないのである

傍から見れば中々異様な光景だろう

しかし、勘違いしないでほしい

別に仲が悪いわけではないんだ

二人してブラインドタッチが出来るがゆえにこうなってるのだ

会話を続けながら課題をいそいそとやっていると、時間になったらしく教授が入ってくる

私はやりかけの課題を保存し、講義を受ける準備を始めた



「Aー、じゃあねー」

「お疲れー、またねー」

講義もようやく終わり、片づけていると友達は一足先に帰っていった

私も急がなければ、とせっせと片づけリュックを背負う

忘れ物はないな!?よし、帰ろう！

私はさっさと講義室から出るといつもよりも早歩きになる

買い物もあるし、なるべく急いだほうが良いよね！

速足で歩いているとすぐに自宅に着く


「ただいまー」


鍵を開けながら声をかける


「お帰り」


靴を脱いでいると、秀が歩いてくる


「準備は出来てる？」

「あぁ、いつでも行けるぞ。…と言いたいところだが」


秀は言いよどむ

…何かあっただろうか

私が首を傾げていると



「靴」

「あ」


…すっかり失念してたわ

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