◇狂愛、常識、体温【Os】 ページ30
底知れぬ暖かさが昔から好きだった。誰にでも優しく、聡明で、暖かい彼が私は大好きだった。
「オスマン、これは何処に置けばいい？」
カタカタとタイピング音が響くオフィス。上司から半ば強制的に任せられた書類を終わらせたが、生憎任せた本人は出張中。置く場所に困った私は、丁度近くに居たオスマンに声をかけた。
オスマンは糸目を少し開き書類を見ると、「ああ〜、それならここに置けばええんちゃう？」と、上司のデスクの空いた場所を指さした。
ありがとう、と書類を下ろし、まだまだ溜まっている仕事に取り掛かろうとした時、オスマンが疑問の声を上げた。
「ん？その書類、担当やったっけ？」
訝しげに言葉を発する彼、眉間に少々皺がよっている。
「違うよ、でもあのクソ上司が押し付けてきたの」
自嘲気味に笑い、その場からさっさと立ち去ろうとした。
すると、腕を引っ張られる。
「ねぇねぇ、今日夜暇やろ？」
こてん、と首を横に傾げ問う彼。無意識のうちなのか上目遣いになっていてあざとい。と、その時後輩からか「オスマンせんぱーい！」と言う声が聞こえた。
オスマンはぴくっ、と反応したあと耳元に口を寄せ、
「いつもの場所」
とだけ言った。
いつもの場所、それは私達幼なじみが昔から通っていた近所のカフェだ。人気はないが、ここの珈琲は凄く美味しい。もう何十回と飲んだことだろう。だけど最近は仕事が忙しくて来る暇がなかったはずだ。同じ部署でも休みが合うことはないし、休みはそれぞれ用事があって会うことなんてほぼなかった。
マスターのおじいちゃん、このおじいちゃんは私達を信頼しているようで、私達が居るにも関わらず珈琲を出すとすぐに裏へと入っていってしまった。
「久しぶりだね」
それとなく話しかける。「最近仕事どう？」等と聞きたいが、生憎同じ職場。同じ部署と言うのはこういう時困るのだ。
「せやなぁ、二人でこうやって珈琲飲むのも久しぶりやな。」
細く微笑む彼。珈琲を飲む姿までも様となっている。
そこから続く無言。何も話すことがなく、カチャカチャとティーカップの音が鳴るだけだった。
昔からの付き合いとは言え、こんなことはなかった。気まずさに耐えられなくなったは私は何か喋れることはないかと考えを巡らせた。
「あっ、ねぇオスマン「なぁ」」
無理矢理絞り出した話題で無言の空間をぶち壊そうとしたが、私が言葉を言い終わる前にオスマンが遮った。
「俺さ、好きやねん」
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ねこかん(プロフ) - あーさん» ありがとうございます.........！読み返してる...！？だいぶ前からご拝読されて下さってるようで、感謝してもしきれません...！！更新頑張りますね！あー様も小説の更新頑張って下さい........！！！＾＾ (2019年6月14日 17時) (
レス) id: 44d9d7db35 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん(プロフ) - マーシャさん» わわ...！ありがとうございます！素敵だと言ってもらい光栄です。更新頑張りますね！マーシャ様も小説の更新頑張って下さい...！！！＾＾ (2019年6月14日 17時) (レス) id: 44d9d7db35 (このIDを非表示/違反報告)
あー(プロフ) - 短編集いつも楽しませていただいて、何回も読み返させていただいております…！次の更新楽しみにしていますね＾＾ (2019年6月14日 17時) (レス) id: ae45228fe4 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - この短編集とっても素敵です…！次の更新楽しみにしていますね＾＾ (2019年6月14日 17時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん(プロフ) - elさん» ありがとうございます。素敵な表現の仕方です…嬉しい限りでございます！お気遣いありがとうございますゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願い致します。 (2019年5月1日 21時) (レス) id: d8f7b59ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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