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1人で返却された本を片付け終えて、カウンター内に座ってお気に入りの小説を読む。夕方の光が、カーテンを通って室内をオレンジ色に照らす放課後。
樹は、さっきここに来る前に先生に呼びだされて職員室に行ってしまったから、暫くは私1人で仕事する。今日はそんなに忙しくなくて良かった。まぁ、忙しい日なんてほぼないんだけど。
「あれ、1人？」
「あ、松村くん」
ひょこっと現れた、松村くん。彼は一年の時同じクラスだった。ちなみに樹とは中学の時から仲が良いらしい。
「え、Aさんその作家好きなの？」
「うん。結構好き」
松村くんはカウンターの中に入ってきて、私の隣の椅子に腰掛けた。本来なら樹がいるはずの椅子だ。キャスター付きのそれをちょっと私の方に近づけて、開きっぱなしだった小説をのぞき込む。シャンプーの爽やかな匂いが仄かに香った。
「えー、俺も好きなんだ。それまだ読んでないけど」
「あ、これ借りてく？」
「え、いいの？今読んでるんじゃないの？」
「これ二回目だから全然いいよ」
「二周するほど面白いんだ。ありがとう。借りてく」
松村くんの図書カードと本のバーコードをスキャンして、手渡す。少し触れた指先は、もう春だっていうのに冷たかった。
「Aさん他に何系の本読むの？」
「えー、なんだろ。ミステリーは好き。ほんとに王道の」
松村くんは自分で人見知りだって言ってたのに、全くそんな風に感じることがない。だから、嘘なんじゃないかと思う。だって松村くんの方から沢山話しかけてくれて、会話が途切れることがないから。
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Ne子(プロフ) - aさん» 嬉しいです…ありがとうございます！！ (2月29日 21時) (
レス) id: 58b12061de (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - Ne子さんのお話全部可愛くて面白くてきゅんきゅんします！これからも更新楽しみにしてます！ (2月27日 0時) (レス) id: 4b25b1d56f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2024年2月2日 0時
