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「いや、やっぱり、根っこは真面目な人なんだなぁと思った」
「真面目？俺が？」
田中くんのびっくりした顔。突然目が大きくなって、ちょっと笑う。
「うん」
「俺の、噂とか聞いてないの」
「聞いたよ。色々」
「だったら」
「大変だね、人気がある人は。きっと、回ってる噂殆ど、事実じゃないことばっかりなんじゃない？」
「……」
「私も、ちょっとだけ気持ち分かる。中学の時、変な噂立てられて学校行けなくなった時期があったから」
思い出したくもない過去。友達の好きな人が私のことを好きだったってのが、事の発端で、それから、友達から無視されて、根も歯もない噂を立てられた。
「だから、噂のしょうもなさとか、分かってるつもり」
ちょっと、心を許してくれたのだろうか。田中くんの纏う雰囲気が変わった気がする。
「……誰も俺のこと知らないのにさ、あたかも俺の気持ちを知ってるみたいに言う。俺が和泉のこと好きだとか、女遊びしてるとか。親がどうとかまで」
「そっか」
いつも余裕があって大人っぽく見える田中くんが、なんかすごく脆く弱いものに見えた。
「でもなんで。Aと俺、そんな話したことなかったよな」
「あー、うん。見たの。こないだ」
「見た？何を？」
「雨の日、帰りの電車で、田中くんが妊婦さんに席譲ってるの、見たの。しかも、わざわざ車両降りて、隣の車両に乗り直してた」
「あー、あの日か」
「だから私は、田中くんが女遊びしてるような、チャラい人だとはどうしても思えなくて。きっと優しい人なんだろうなと思ってた」
「席譲ったってだけで？」
「うん。それだけだけど、私が自分の目で見たのは、それだけだから」
「じゃあ、以上」そう言って教室を出て行った先生の声で、今自分がどこにいたのかを思い出した。やばい。後半全然話聞いていなかった。
「A、最寄りどこ」
「え？」
「同じ線なら一緒に帰ろうぜ」
二人きりで、教室まで歩く。吹奏楽部の楽器の音が、遠くの方から聞こえてきていた。
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Ne子(プロフ) - aさん» 嬉しいです…ありがとうございます！！ (2月29日 21時) (
レス) id: 58b12061de (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - Ne子さんのお話全部可愛くて面白くてきゅんきゅんします！これからも更新楽しみにしてます！ (2月27日 0時) (レス) id: 4b25b1d56f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2024年2月2日 0時
