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「食えば？」
「なんか、怒ってる？」
「怒ってねぇ」
絶対に怒ってる。でもその原因に心当たりはない。だからもういいやと思って、屋上に置いてある椅子に腰掛けて、持ってきてしまったお弁当を開いた。
「樹、お昼は？」
「今日はいいわ」
「嘘でしょ？お腹空かないの？」
「空いてねぇからいい」
「そう」
樹はゆっくりと私の周りを歩きながら、さりげなくお弁当を覗いてくる。お腹空いてないと言っておいて、本当は空いてるんじゃない？そう突きたくなるほど分かりやすい。
「食べる？卵焼き」
「いや……」
「ちょっと焦げちゃったけど」
「えっ、Aが作ったの」
「うん。自分で作ってる」
「食いたい」
「はい」
箸を渡したらちょっと焦げてしまった卵焼きを一つパクッと食べた。ねぇ絶対、お腹空いてたじゃん。
「うまっ」
「そう？よかった」
樹から箸を受け取って、私ももう一つのそれを食べる。あ、流れるように間接キスしてしまった、と咀嚼しながら気づいたけど、まぁ、いっか。そんなことより、お腹が空いてる。
樹はその後も、私の食べている様子をまじまじと見つめてきて居た堪れなかったから、結局全て半分こした。お陰で満足感は少ないけど、樹が「うまいうまい」と食べてくれたからか、不思議と心は満たされていた。自分で作ったものを他人に褒められるのは、当たり前に嬉しいものだ。
「樹の分も作ってこようか？」
「は？」
「ごめん。なんでも、」
「え、いいの！？マジ？」
「あ、うん。いるなら、作る」
「いる！食いたい」
半ば冗談で言ったつもりだったけど、あまりにも喜んでくれたから、まぁ、いっか。一人分も二人分も労力はそんなに変わらないし。
「好き嫌いとかある？」
「ない！」
さっきの不貞腐れた顔とは打って変わって、目を輝かせている樹は、子供みたいで可愛かった。
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Ne子(プロフ) - aさん» 嬉しいです…ありがとうございます！！ (2月29日 21時) (
レス) id: 58b12061de (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - Ne子さんのお話全部可愛くて面白くてきゅんきゅんします！これからも更新楽しみにしてます！ (2月27日 0時) (レス) id: 4b25b1d56f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2024年2月2日 0時
