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「俺も本読もっかなぁ」
返却された本を本棚に片付けながら、ダラダラと話していた。だって今図書室には、私たち以外誰もいない。
「まず教科書読んだら？」
「あ？今なんて？」
向かい側の本棚の隙間から、樹に睨まれて、刹那。危険を感じた。
「待って、来ないで」
「もう一回言ってみ？」
「ねぇ、追いかけてこないでよ！」
誰もいないからって、こんなことしちゃいけないと思う。幼い子供みたいな、追いかけっこ。本棚の間を抜けながら、追いかけてくる樹から逃げる。
「図書室は走んの禁止だぞー」
「樹じゃん！走ってんのは」
「俺は早歩きですー」
一度振り向いて確認したら、捕まってしまったらとんでもないことをされそうなイタズラ顔の樹と目があって、止まるに止まれなくなってしまった。
「一回止まって」
「Aが止まれば俺も止まるよ」
「絶対嘘」
「じゃあしょうがないな」
今まで本気を出してなかったのか。樹がより足早になって、徐々に迫る影。
「わっ」
「捕まえた」
角に追い詰められて、結局捕まってしまった。両腕をガッチリ掴まれて、動こうとすれば抱きしめられた。何これ。どういう状況なんだ？肩で息をする私たちは、どう考えてもこの空間に似合わない。
「離してください」
「謝ってくれたらね」
「…」
謝る気になれなくて、黙り込んでいたら、今度はほっぺたを掴まれた。ちょっと痛いし。なんだ、この距離。
「言えよ(笑)」
「…ごめん」
「うん。なぁ、なんで笑ってんの」
これ以上このままでいたら、どうにかなってしまいそうで、樹の腕が緩んだ隙に抜けて走った。
「こら逃げんな」
「来ないで」
「じゃあ逃げんなよ」
私たちは、放課後の図書室で、何をしてるんだろう。
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Ne子(プロフ) - aさん» 嬉しいです…ありがとうございます！！ (2月29日 21時) (
レス) id: 58b12061de (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - Ne子さんのお話全部可愛くて面白くてきゅんきゅんします！これからも更新楽しみにしてます！ (2月27日 0時) (レス) id: 4b25b1d56f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2024年2月2日 0時
