光芒 II (ページ6)

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「Aのこと、よろしくね」
「いや、え？」
「え？」
「意味が分かりません」
「そう？」
「ジェシーさんは、Aさんと復縁したんですよね？」

喉の奥でつっかえていた疑問は、我慢できずに声になった。ただ、俺はそんな変なことを訊いただろうか。ジェシーさんが、俺の言葉を聞いて苦笑する。

「残念ながら、してないよ。出来ることならしたいけど。逆に復縁してほしいの？」
「いや、……嫌、ですけど」
「アハハ、正直」
「……」
「Aには、振られたよ。いや、俺が振ってしまったんだけど、でも、俺が振られたようなもん」
「何でですか。Aさん、あなたに振られて、ものすごく傷ついてました。制御できないくらい泣いてた」

これは、言わなくて良かったかな、と後悔する。ジェシーさんが、新事実を知ったかのように少し驚いたから。

「それは、悪いことしちゃったと思ってる。Aを試すようなことしちゃったから、後悔してる。でも、」
「はい」
「Aは最近、なんか変わったんだ。俺の知らない顔するようになった。それは、多分君のおかげだね？いや、君のせい？」
「俺のせい…」
「嘘だよ」

「Aのこと、好き？」
「…はい。好きです」

考える前に、頷いてしまった。もう、制御しようのない事実なのだ。俺が、Aさんのことを好きだということは。俺がAさんに触れることを許される人間か、ということは置いといて。

「そっか」
「Aのこと、よろしくね」

少し寂しげに微笑んで、ジェシーさんもラーメンを啜り始めた。俺も、何も答えられずに、ただ麺を啜った。