光芒 II (ページ4)

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腕まくりしたワイシャツから伸びる腕。組んだ脚は長く、きっと俺より背が高いだろう。この人が、Aさんを抱きしめていた人か、まるでさんを抱きしめる権利がある人か、と思うと少し忌まわしく、でも少しだけ羨ましく感じる。どれくらい見つめていたのだろうか。視線に気づいてこちらを向いた彼と、バッチリ目が合ってしまった。

すぐに、目を逸らす。何も無かったかのように、机上の調味料を一つ一ついじってみたりする。無意味に。

「Aと、知り合いなの？」
「…..」
「ん？」
「え？」

ワイシャツ姿の彼は、明らかに俺の目を見ている。

「ごめん。Aって名前聞こえたから、知り合いなのかなって」
「あ、そうです！こいつAさんと、」
「おい、樹！」
「Aと、友達？」

不思議そうな顔で「友達？」と問うてくる彼に、馬鹿正直にムッとしてしまう自分がいた。あなたはAさんとどういう関係なんですか？なんてとぼけたフリして問うてみようか。ここではっきりさせて、いっそのこと、もう俺をどん底まで引き摺り下ろしてほしい。

「あぁ、…まぁ、そんな感じです」

小心者の俺はそんなことを言う度胸もなくて。彼から目を逸らして答えた。喉を通って出た声は、消え入りそうなくらい小さかった。