光芒 II (ページ24)

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「朝だね」

沈黙を破った北斗くんは、なんだか昨日とは違う顔に見える。目に、光が宿っているというか。

「今何時？」
「5時」
「朝だ」

日の出を迎え、少しずつ明るくなる空にただ見惚れた。朝日が、街を、私たちを照らす。

「きれい」
「そうだね」
「なんか、始まるって感じがする」
「なにが？」
「ん？1日が」

見つめられたら、照れて誤魔化してしまった。北斗くんは「確かにそうだ」って笑う。

「Aさん」
「ん？」
「俺、もう一回水族館に行きたい。イルカショー、次はちゃんと見たい」
「ふふ」
「なに…」

可愛い、って思う。でも、なにか勘違いしたのか拗ねた顔をする北斗くん。そんな顔も、また可愛い。あ、徐々に不機嫌が強くなっていく。私はそんな北斗くんの肩に頭を乗せた。全体重を乗せて、身を委ねるように。

北斗くんは不機嫌そうな顔を緩めて、笑う。

今はそれだけでよかった。

これから、どうなるか分からないけれど、こうやって今を積み重ねて、

あなたが私の光であるように、私も、あなたの光になれたら。

End.
Thank you!!!