光芒 II (ページ22)

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「きっとAさんに、何度もダサいところ見せると思う。俺に幻滅するくらいの」
「むしろ見せてほしい。私だって、何度も北斗くんの前で泣いちゃってるし」
「でもAさんには、俺は相応しくないと思う」
「なんで？好きだから、一緒にいたい。それだけじゃダメ？」
「だって、怖いんだよ」
「なにが？」
「いつか、いなくなるかもしれない」

嫌いになられるのが怖い、と思って愛を受け取るだけしていた過去の自分が、まだ胸のどこかにいる。「いなくなるのが怖い」と言う、今の北斗くんと同じように。

思わず、小さくなる北斗くんの手を握った。今は、触れたこの感覚がなくなってしまう方が怖い。だから初めから繋がないのではなく、だからこそ、ずっと繋いでいられるよう努力したい。失う痛みを怖がって、繋がる喜びを蔑ろにしたくない。そう思った方が、きっと幸せになれる。

「そうやって起こってもないことで悲しむの禁止。っていうか、私はいなくならない」
「でも、」
「怖くなったら、こうすればいいじゃない？」

北斗くんは、私より頑固だな、と思った。だから、強行突破に出た。北斗くんの背中に手を回して、思い切り抱きつく。そうしたら、北斗くんは静かになった。

「……」
「もう、いい？」

北斗くんを全身で感じるように、目を閉じる。部屋の白いライトが瞼の裏側を微かに通る。北斗くんの腕がゆっくりと背中に回るのを感じる。

「……好きだよ」
「うん。私も」
「それだけでいいのかな」
「いいよ。今はそれだけで」

正解なんて分からない。でも今は、これだけで良いと思った。北斗くんの心臓の鼓動を、感じられるだけで。