光芒 II (ページ21)

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「俺もAさんのことが好きだから、一緒にいたいよ。でも」
「でも？」
「俺は落ちこぼれだよ？ジェシーさんとは違う。将来どうなるかも分かんない、ただの」
「北斗くんは、どうなりたいの？将来」
「え？」

北斗くんは学生で、私は社会人。立場が違う？のなら、何か問題があるのだろうか。そうやって、自分に問いかけた。

「私は、北斗くんのなりたいものになるための力になれるかもしれないじゃない？ただ一緒にいれるってだけかもしれないけど。だって北斗くんが、そうやって私の傷を癒してくれたんだよ？」

とりわけ頭が良いわけでもないし、北斗くんの家族関係のことは分からないけれど、でも立場が違うからこそ、助け合えるじゃないか。という答えに辿り着いたのだ。

「俺は、……本当は、弁護士になりたい。苦しんでいる人を直接俺の手で救えるような」
「……うん」
「でも、俺は一回レールから外れた。これ以上失敗したら、もし一回で試験に受からなかったら、父親は一度も失敗しなかったのにって、きっとまた周りの人達に、烙印を押される」

「人生は、長いよ」

何を上からものを言ってるんだ、と自分でも思う。だけど、私も分かるんだ。大学受験で独り暗い部屋で将来を悩んだ過去がある。最悪のシナリオを想像したことが何度もある。北斗くんの悩みとはスケールは違うかもしれないけど、経験したことあるから、分かる。

「弁護士になった先が見えてる北斗くんは、強いと思う。たとえ一度で受からなくても、お父さんより時間が掛かっても、周りからなんと言われても、北斗くんには北斗くんだけにしか選べない人生が続くから」
「……うん。でも、怖いよ」
「だから、私が一緒にいる。一緒にいさせてほしい」

もはや、北斗くんに訴えかけるよりも、自分自身に言いかけせているようだ。今まで言えなかった言葉の数だけ、力がこもった気がする。