光芒 II (ページ19)

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「北斗くん、待って」

先に諦めたのは、北斗くんだった。いつもの公園、白いライトが地面を照らして、二つの濃い影を作る。北斗くんにもう逃げられないように、荒い息のまま腕を掴んで名前を呼んだ。

「なんで追いかけてくるの」
「それは、……話したいから」
「俺は何も話すことないよ」
「ねぇ待って」

振り解かれそうになっても、もう負けない。両手で掴めば、北斗くんはやっと抵抗をやめてくれた。

「俺なんか、要らないでしょ」
「だから、勘違いしてる！」
「……」
「北斗くんも分かってるでしょ？」
「……」
「ジェシーと会ったって」
「なんでそれ……」
「樹くんから聞いた」

小さくなる声、合わせてくれない瞳。今の北斗くんは、空気が抜けていく風船のように、徐々に抵抗力が弱まっていく。

「……復縁してないんだってね」
「うん」
「でも、それでも、俺は、Aさんにとっての何にもなれない存在で、だからもう」
「ばか！」

あ、この世に生まれてから、そんなこと言われたことないって顔。ちょっと乱暴すぎたかなと思ったけれど、口は止まってくれなかった。全部言わなきゃって、その気持ちだけが先走っていた。

「……」
「何で勝手に決めつけるの。ちゃんと、ちゃんと話そうって、言ってるじゃん」
「…泣かれたら、困るよ」

また、私が気づくよりも先に北斗くんが頬を拭ってくれる。自分の気持ちを話そうとすると泣いてしまう。どうしても。だからいつも押し殺してきた。泣くのはずるいって分かってるから。でも今だけは、ずるい手を使っても北斗くんと話す機会が欲しかった。