光芒 II (ページ18)

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さて、どうやって会おうか。やっぱり無理矢理にでもバイト先に押しかけるか、それとも、家にまで行ってしまうか、なんて麺を伸ばしながら思案を巡らせていたら、お店の引き戸がガラガラと開いた。いつもなら気にならないけれど、反射的に振り返ってしまった。ほら、やっぱり、何かの引力を感じるんだ。

「いらっしゃい、あ、」

樹くんも、時が止まったように固まっている。だって、入り口に立っているのは紛れもない北斗くんだった。今、完璧に目が合って、私の胸は高鳴る。

「あ」
「北斗くん」
「Aさん……」

どうしよう、次に何を言ったらいいのか、分からない。久しぶりに会えたのに。きっと今がチャンスなのに。

「……ごめんなさい！」
「おい、あ！逃げた！」
「ちょっと、待って。北斗くん！」

固まっていたら、北斗くんが走って行ってしまった。また拒絶されたみたいで、少し傷つく。いやでも待て、今私が傷ついてる場合じゃない。また、私は何もせずに後悔するのか？そんなの、嫌だ、だけど、

「Aちゃん、行きな！」
「でも、お代」
「大丈夫。サービス」
「それは流石に」
「じゃあ後日でいいから！とにかく今は追っかけな！はい！」
「ごめん！今度絶対払います！ご馳走様でした！」
「うん。頑張れ！」

未だかつてこんなに急いだことがあっただろうか。鞄を手に持って、羽織ってきた上着はシワになるのも気にせず掴んで、お店を出た。今日に限っていつもよりヒールの高い靴を選んでしまったことを後悔する。

俯きながら歩く北斗くんの背中を遠くに見てから、一刻も早くその腕を引き止めなければと走った。私の足音に気づいて振り向いた北斗くんも、また走り出すから、これじゃ、一向に追いつけないじゃないか。でも、諦めたくなかった。今日を逃したら、もうチャンスはないような気がした。

だから、ひたすらに北斗くんを追いかけた。