光芒 II (ページ14)

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「バカなの？好きなら好きって言いなさい！拒まれても。話はそれから」
「北斗くんは大学生だよ？私なんかが縛ってちゃいけないと思う」

北斗くんと私の関係を俯瞰してみることで色濃く思い出される歳の差。北斗くんの将来のこと。私の恋心で彼を余計に乱してしまうかもしれない。それは、嫌だ。

「そうやって、いつも自分の気持ち疎かにする」

夏帆の声が背後から聞こえると気づいて振り向けば、夏帆は立ち止まったまま私を睨んでいた。怒ってる。確実に怒っている。初めて見た顔、声色に、どうしたら良いか分からなくて心拍数が上がった。

「Aってそういうとこあるよね」
「……え」
「本当に思ってることは表に出さずに、相手の気持ちを優先する。でも、Aが勝手に決めつけてる『相手の気持ち』は、大概間違ってる」

ハッと思い出す。別れ際、ジェシーに言われた「Aが本当に俺のこと好きなのか分からなかった」って言葉。私自身の、人に合わせがちなところ、相手を乱したくないという配慮、とも言えないただ弱いなところ。こんな私の性格が、一体何人の人を悲しませてきたんだろうか。気づいてたはずなのに、一朝一夕で治せるものでもなくて、だからこそ苦しいのだ。

「急に壁作られたように感じるんだよ」
「ごめん……」
「人のこと思ってる風に見せかけて、A自身を守ってるだけでしょ？」

夏帆の言う通りだ。北斗くんにとって、私など必要ないなんて真実ぶった妄想を作り上げて、本心ではもう傷つきたくないと思っている。

「だから、思ってることは口に出して言う！それは私にも、彼にも。ね？」
「うん。ごめん」
「謝るな」
「ありがとう」

夏帆は俯く私の肩をポンっと叩いて、また前を歩き出した。いつも、この背中に力を貰ってばかりだ。夏帆の時々ツッコミたくなるくらいの天真爛漫さが、私を確実に救ってくれている。

そう思ってること、今言わなくちゃいけない気がする。過去に幾度となく伝え逃した言葉はもう元には戻らないけど、今からは私次第で如何様にでもなる。

夏帆の背中に追いつくように、一歩踏み出した。