光芒 II (ページ13)

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6 _夜明けと僕らページ13

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「最近また顔色悪いけど、彼と喧嘩でもしたの？」

会社の最寄り駅を出てすぐに夏帆と鉢合わせて、一緒に会社に向かっていた。交わした言葉は、「おはよう」その一言だけだったのに、二言目でこれだ。また、見透かされてる。

今でも男社会の風潮が薄れない社内で、社会で、舐められない女でいる為に履くヒールの音をコツコツと鳴らしながら2人で歩く。ジェシーと別れてすぐのあの朝と同じシチュエーション。変化といえば、あの日の朝は晴天だったけれど、今日は曇天、ということくらいだ。

「うーん。喧嘩…ではないな」

北斗くんに拒絶されてから数日経っても、未だ傷は癒えなかった。コンビニ前でバイト終わりを待ち伏せたあの夜、振り解かれた腕。何より、「踏み込んでこないで」という言葉が、今でも頭の中をぐるぐると回っては私の気持ちを沈ませる。

だって、北斗くんの中に少しだけでも踏み込めたと思っていた。踏み込むとは、良い意味で、だ。彼の過去を知り、一緒に居ることで孤独を解消できてるんじゃないかなんて自惚れたりしていた。なのに、その行為がまるで迷惑だったかのような言い方をされた。今までの全てが否定されたような気がしたのだ。

だから、あの日から私は北斗くんに連絡できていない。北斗くんが勘違いをしていることを知りながら、でも怖くて、これ以上拒絶されることが、否定されることが怖くて、私は目を背けている。北斗くんのことが好きだっていう、事実にも。

「なにそれ、早く誤解解かなきゃ」

夏帆に正直に話せば、なぜだか私より感情的になっている。

「でも北斗くんは、私なんかに会いたくないと思う」
「はぁ？」
「このまま思い出に……」

なんて。そんなこと、思っていない。また会いたい。でも、ネガティヴな言葉ばかりが口から出てきてしまうのだ。向き合うのが、怖いのだ。