Cheers【2】 (ページ5)

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結局次の日は有給を取って、お昼から北斗と浅草に行った。渋谷や表参道などのキラキラした場所より、下町に来たかったらしい。スカイツリーに登り、小さな遊園地に入り、下町の通りにあるかき氷屋さんに入った。私はマンゴー味を、北斗は宇治抹茶味のシロップに餡子が乗った贅沢なかき氷を頼んだ。冷たくて甘い氷を口に運んだ瞬間、身体の疲労にダイレクトに染みて、沢山歩いて体力を消耗していたことを自覚した。

「食べる？」
「食べたい」

北斗がかき氷と餡子の乗ったスプーンを私の口元まで差し出してくれたから、素直にそのまま頂いた。すると、北斗はずっと喉奥で詰まっていたものを吐き出すかのように「あのさ、」と切り出した。

「…彼とは、付き合ってんの？」
「彼って、ジェシーくん？」
「そう」
「あー、付き合って、うーん。付き合っては、…..ない」
「何その間」
「いや」

ジェシーくんと付き合っているのか、と訊かれると胸を張ってハイとは言えない。思い返せば、そういう言葉を交わしてはいないから。だけど、ジェシーくんが育ってきた文化的には、身体を重ねたら付き合ってるってことなのかもしれないし…でも私の触れてきた文化にはそのルールはないから、

「まさか身体だけとか言わないよね」
「……いや、付き合おうとか、そういう言葉はまだないけど、でも」
「はぁ。Aはすぐに騙されるから」
「騙されてないよ。ジェシーくんはそういう人じゃない」

どうしようもない彼氏を庇う為に使われるような言葉が出てきてしまった。決してそんなつもりはないのに。