Cheers【2】 (ページ27)

今日:14 hit、昨日:92 hit、合計:64,230 hit

. ページ27

.

「ジェシーには連絡してって言ったんだけど、まだ何の連絡も届いていないから、今は、待つしかないわね」

ジェシーくんが居た部屋には、もう彼に関するものは何も無かった。ジェシーくんが居ない部屋にあるのは、どうしようもない虚しさだけ。

「帰ってくる気ないじゃん…」

「泣かないの」

マリさんは、優しく背中を摩ってくれた。でも「なんで泣くの？」と困った顔で抱きしめてくれる体温の高い身体はもう無い。その事実がまた、涙を誘う。

許嫁がいることを隠してたのは、私のことが本当に好きだったから？ジェシーくんの家族のこと、言ってくれなかったのは、私に心配をかけたくなくて？じゃあ、あの日電話で「彼女はいないよ」と言っていたのは、なんで？あれは誰だったの？

答えの出ない問ばかりが宙を舞って消える。私には、何ができるだろうか、そう考えて、考え抜いて送った言葉は、いつになっても既読にならなかった。ジェシーくんのベッドには、まだ彼の香りが残っているのに。