Cheers【2】 (ページ24)

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「A！」

仕事から帰宅して自室へ直行しようと思ったら、後ろから腕を掴まれて立ち止まる。ジェシーくんが、知らない誰かに「彼女なんていない」と言うを聞いてしまってから、どう接したらいいのか分からないままだった。

「最近俺のこと避けてるよね？」
「避けてないよ」
「避けてるよ！」

大きな声に少し後ずさったら、ジェシーくんも一歩近づいてくる。

「俺なんかしちゃった？ならちゃんと言ってほしい」

「……ジェシーくんにとって、私は彼女じゃなかったんだね」

溢れた言葉は思った以上に冷たかった。目の前のジェシーくんが私にくれる言葉だけを信じていたい。この温度だけが本物だって分かっているつもりなのに、裏腹に不安は大きくなる。

「え？どうして？彼女だよ？」
「だってこの間、」

「彼女いないって言ってた」確かめたかったその言葉は、ジェシーくんのスマホの着信音に遮られた。

「ごめん」

掴まれていた腕が解放される。私より、電話の方が大切なんだ。去っていくジェシーくんの背中を見ながら、ワガママな子供みたいな面倒くさいことを思った。