Cheers【2】 (ページ23)

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もう一度ベッドに潜り込んでも、目が冴えてしまって眠れない。今すぐに夢の中に入りたいのに。もしかしたらこれが夢で、さっきのジェシーくんの言葉も夢で、本当は存在してなくて…ほっぺたをつねってみたら、ちゃんと痛いじゃないか。

「A？」

いつも通りのジェシーくんの甘い声。部屋の扉がノックされて、「入るね？」という言葉と共にドアが開く。私は布団を頭まで被って、寝たふりをした。

「疲れてる？大丈夫？」

布団の上からジェシーくんに撫でられて、涙が出そうになる。どうしてだろう。

「……ちょっと、具合悪い」

ゴホッゴホッと全く嘘の咳をする。とにかく、今ジェシーくんと顔を合わせたくなかった。

「えぇ、最近忙しいもんね」
「…うん」
「熱測った？何か食べた？あ、薬あったかな」
「今は！」
「ん？」
「今は、1人にして欲しい」

少しの静寂。布団を被ってるから、ジェシーくんの反応は見られないけれど、今きっと驚いた顔をしてる。

「大丈夫だから」

そう念押しすれば、「……わかった」という言葉を最後にジェシーくんが出ていった。まだ、心臓がバクバクしている。

信じたいのに、信じられない。どうしたらいいのか分からない。確かめたとして、「本当はね」と知らない事実を話されるのが怖かった。

だから私は、その日から、ジェシーくんを避けた。自分の仕事の忙しさを盾にして。