Cheers【2】 (ページ22)

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「ん、」

次に目を覚ました時、部屋は真っ暗になっていた。太陽はすっかり落ちてしまったようだ。寝っ転がったままでスマホを確認すれば、時刻は20時過ぎ。帰って来たのが18時だから、2時間は寝てしまった。

部屋を出て階段を降りれば、ジェシーくんの声が聞こえる。いつ帰って来たんだろうか。ジェシーくんは縁側で、誰かと電話をしているようだった。電話が終わってから声を掛けようと思いながらも、息を潜めて少しずつ近づいてみる。ジェシーくんは電話に夢中で私の気配に気づいていない。

「え？はいはい分かってる」

私との会話では聞いたことのないような、心底呆れた声に、ちょっとだけ後ずさる。知らないジェシーくんを見てしまったと思った。

ジェシーくんは時々相槌を打ちながら、また時々溜め息を吐く。お風呂上がりの濡れた金髪が、動くたびに揺れる。

「だから何回も言ってんじゃん。帰るから」

帰る？実家に、だろうか。ということは、相手はジェシーくんの家族？

「え？彼女？居ないって」

瞬間、足の力が抜けそうになった。突然に心拍数が上がって、殺していたはずの息が、一転して激しくなる。

「うん。分かってる。もういい？」

盗み聞きしてたことがバレたらいけない。なけなしの防衛本能に身を任せて、階段を上がって自室のドアを閉める。