Cheers【2】 (ページ3)

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「いやーそれにしても驚いた」
「私も」
「会えてよかったよ」
「そうだね」

「仲良いんだね」向かいあうジェシーくんが、少し寂しそうな顔をする。「まぁ、こんな小さい時からAのこと知ってるからね」と満更でもない顔で言う北斗に、空気読んでよ、という視線を送る。

「それよりマリさん。なんで北斗がここに？」
「あー、そうね。それを説明しないと」
「はい」
「北斗くん、今日から１週間ここで一緒に住むことになったから。よろしくね」
「えっ？」「エ！？」

「改めてよろしくお願いします」と頭を下げる北斗と、愕然とする私とジェシーくん。

「っていうのも俺、ちょっと災難に遭って、」

聞けば北斗は、洋服の買い付けのために１週間東京に滞在する予定で、事前にホテルを取ったが、予約したホテルがあるはずの場所は空き地になっており、調べるとつい1ヶ月前に営業破綻していたらしい。

そして途方に暮れて東京を歩き、せめてお腹を満たしたいと入ったご飯屋さんでマリさんと隣り合わせになり、事情を話したところ「うちに来ればいい」という流れになったようだ。そんな劇的な展開あるのかと思ったけれど、私がここに来た経緯も同じようなものだったと思い出す。

「でも、空いてる部屋ありましたっけ？」
「実は一階に一部屋空いてるのよ」
「マリさんそこ、物置じゃなかった？」
「だから明日掃除するんでしょう？3人で。丁度いらないもの捨てたかったし、良い機会だわ」
「3人って、私とジェシーくんと北斗ですか？」
「そうよ？」
「え〜俺明日久しぶりの休みなのに」
「じゃあ北斗くん、Aちゃんの部屋でいい？お友達みたいだし」
「え、私の部屋？」
「俺は、全然」
「それはダメでしょ！」
「だってジェシー、掃除できないんでしょ？」
「する！やらせてください！」

その日の夜だけ、北斗はリビングで寝ることになり、次の日は物置部屋の断捨離と掃除をした。海外のちょっと不気味なインテリアや珍しい楽器が沢山出てきて、その度にジェシーくんと目的を忘れて遊んでしまい、挙句整頓したスペースを汚し、北斗に注意される。その繰り返しで、夕方にやっと作業が終わった。

私やジェシーくんの部屋よりも広く綺麗な部屋に生まれ変わり、北斗の荷物が置かれていく。こうして、1週間限定の4人での暮らしが始まった。