Cheers【2】 (ページ19)

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「これ、あげる」

ジェシーくんの手の中にあった透明な玉が、私の手のひらに乗せられた。

「何これ、ビー玉？」
「そ。さっき飲んだラムネの中に入ってたビー玉。綺麗でしょ」
「綺麗だけど、いる？」
「持っててよ」
「しょうがないなぁ」

ビー玉を、ポケットの中にしまう。あとで、いつも持ち歩くメイクポーチの中にでも入れよう。ジェシーくんに見せる態度とは裏腹に、私にとってそのビー玉はもう既に「大切なもの」になっていた。

「てか重ーい」
「いいでしょー」

夏も終盤を迎えたが、太陽の光は未だ肌を刺すように照らす昼下がり。冷房の効いた私の部屋。ソファに座ったジェシーくんが、床に座ってパソコンを操作する私を背後から抱きしめる。

私は、ジェシーくんの重さを肩に感じながら、幾つも物件情報の載ったホームページをマウスでスクロールしていた。

「やっぱり噂は本当だったね」

あの花火大会がキッカケとなって、私たちは付き合い始めた。その前後で接し方に大きな変化はないけれど、名前が付いたことによる安心感は多少あった。

「でもジェシーくん、告白してくれたの花火見る前だから、『花火見たら結ばれる』って噂とは関係なくない？」
「えぇー？そこは許してよ。俺が花火終わるまで待てなかっただけ！」

そう嘆きながら、ジェシーくんはソファにぼすっと寄り掛かる。北斗は花火大会の次の日に、静岡に帰った。恋のキューピットと言えば不満そうにしたが、わざわざ2人きりにしてくれたお礼にささやかながらご飯を奢った。