Cheers【2】 (ページ14)

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お盆休み前ということもあり仕事は忙しく、3日なんてすぐに過ぎ去った。ジェシーくんとは生活リズムが合わなくて、この3日間全く顔を合わせていない。朝起きて、洗面所に残ったジェシーくんの香りを感じることだけで喜べるようになったくらいだ。

「うわーなんか懐かしー」
「静岡にいた頃思い出す」
「うん。高校生の時ね」

川沿いの道を歩きながら、いくつもの屋台を横目に通り過ぎる。年季の入ったカラフルな暖簾と、どこからともなく香る香ばしい匂いに心躍った。結局私は、マリさんの娘さんが置いていった浴衣を貸してもらった。浴衣着ないの？と着ることを半ば強制してきた北斗は、そのくせ、浴衣姿の私を見て特に何も言わなかった。

「あ、Aりんご飴好きじゃない？」

北斗は、砂糖に塗られて艶めいたりんごたちが割り箸に刺さって並んでいる屋台の前で立ち止まった。確かに私はりんご飴が好きだった。キッカケは、小さい頃に、カップルが2人でそれを分け合う姿に憧れたから、とかだと思う。

「好きだったけどそれ、いつの記憶？」
「俺の花火大会は高校生で止まってんのー」

少し歩くと、醤油の香りが増して、鉄板とヘラが擦れる音が大きくなった。串刺しのイカが鉄板で豪快に焼かれている。

「北斗は絶対イカ焼きだよね。まだ好き？」
「よく覚えてるね。まだ好きだよ」

「じゃあ買お」と2、3人の列に並んで、イカ焼きを1本買った。あとは花火見ながら食べようかとパックに入った焼きそばやたこ焼きを買った。それほど長い通りではないはずだけれど、人混みということもあって、一通り屋台を物色し終わった頃にはもう花火まで15分を切っていた。