Cheers【2】 (ページ12)

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「あっした〜」という深夜のコンビニ店員特有の原型を留めていない間延びした声と退店を知らせるメロディを背に、2人して買ったアイスを即開ける。店内と外の寒暖差に体が気づいてしまう前に内側から冷を補給したかった。

「はぁ、生き返る」
「んなー。てかこれも飲んでみて？」

コンビニ前の駐車場を横切って、のんびりと歩きながら北斗の買ったメロン味を一口飲む。

「おいしっ」
「だろ？」
「次それ買お」

つっかけサンダルの踵が地面と擦れて音が鳴る。アイス片手に、赤いペディキュアを塗った足を見ながら歩いていたら、暫くして北斗の足音が止まった。

「あ、」
「ん？」
「俺さー、向こう帰る前に花火見たいな」

コンビニと家のちょうど中間地点にある公園の端っこにある、地域のイベントや公演会関連のポスターが貼られる掲示板の前で、北斗は花火大会のポスターを見つめていた。ポスターの真ん中で、鮮やかで大きな花火が夜空に打ち上がっている。私がジェシーくんと行く予定だった花火大会だ。

「あぁ」
「付き合ってくれない？」

ジェシーくんと行けなくなって可哀想だから、という言外の含みをひしと感じたけれど、そこは突っ込まなかった。北斗なりの慰めであり、優しさだから。きっとこうして外に連れ出してくれたのだって、その一つだ。