Cheers (ページ9)

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「お家ね、超広いから楽しみにしててね」
「そうなの？」
「そう。デカい一軒家。旦那さんが単身赴任で海外に居て、今はマリさんだけが住んでる。そこに俺も住んでる。あ、マリさんって、家主ね。自由な人だけど、優しいよ」
「その、マリさん？はジェシーくんのご家族？」
「ううん。あ、でもね、第二のお母さんって感じ？」
「第二のお母さん…」
「あ、着いたよ」

ジェシーくんが指差した方を向けば、2階建ての大きな一軒家が目の前にあった。言っていた通り、立派だ。忙しない都会を忘れられる様な、木造の古風な家。祖父母の家みたいな懐かしみのある外観に目を奪われてしまった。

玄関まで続く敷石を歩いて、ジェシーくんが鍵を開けてくれる。奥からジェシーくんがマリさんと呼ぶその方が出迎えに来てくださった。

「あぁいらっしゃい。待ってたわ」
「初めまして。お邪魔します。すいませんご迷惑を、」
「何を言ってんの。ほらあがって」
「Aちゃんあがってあがって！」

早速マリさんが案内してくれたのは玄関から続く階段を上がって2階にある、1番奥の部屋。8畳ほどの1人部屋にしては大きな部屋で、ウッドブラインドがかけられた大きめの窓に、シングルベッド、部屋の中央には丸テーブル、壁沿いに置かれた棚には海外の雑貨や置き物が並べられている。

「良いんですか、ここを私が使って」
「ええ。娘もとっくに独り立ちして居ないし誰も使ってないから、自由に使っていいわ」

魅力的すぎる空間に、入るのを戸惑ってしまうくらいだった。