Cheers (ページ34)

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「Aさん？」

完全に油断しきっていたところに、突然聞き覚えのある溌剌とした声に名前を呼ばれた。

「……森本？！何してんの」

完全にオフモードの森本がそこにいた。2年くらい一緒に働いてるけど、スーツ姿しか見たことなかった。休日は想像通り、半袖短パンにビーサンなんだなぁ、夏男って感じがする。

「友達の家がこの辺なんですよ。あ、昨日はごちそうさまでした！Aさんこそ何してるんすか！」
「あ、うん。私は、買い物だよ」
「1人ですか？てか家この辺でしたっけ？」

まずい。前の家は教えていたけど、トラブルがあってからの諸々について全く話してなかったから、今下手なこと言うともっと混乱させてしまう。昨日2人に話そうとしていたのに、イレギュラーなことが起こるから結局話せずじまいだったのだ。

「Aお待たせー。あ、」
「ジェシーくん、」
「え？あ、こんにちは！」
「こんにちはー。Aの友達？」
「いや、会社の、部下の森本」
「どーも、森本慎太郎っていいます」
「そうなんだ！あ、ジェシーです」

軽く会釈をする2人の間で、困惑する私。こんな筈じゃなかったのに。