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「今朝の星座占いでね？1位だったんですよ。あ、俺双子座なんですけど」
「…はい」
「それで、『双子座の方は、運命の人と出会えるでしょう』って、アナウンサーがそう言ってたんです。まさか本当に会えるなんて思わなかった」
「……冗談がお上手ですね(笑)」
「冗談じゃない！ホントです！」
「ふふ」
「嘘言ってるって思ってるでしょ？違うのに」
「いえ。朝の占いそんな真剣に見てる人いるんだーって」
「バカにしてる？」
「可愛いなって、思っただけです…」
「ねー笑ってるじゃん！」
大人っぽい外見の雰囲気からは想像つかないくらい、無邪気に話しては豪快に笑う。かと思えば、真剣な眼差しを向けられる。なんだか、一瞬で彼の全てに惹き込まれてしまった。
お酒の力も相まってか、ジェシーくん(そう呼んでと言われた)と、初対面とは思えないスピードで距離が縮まっていった。元来人見知りな私にとって、記録的な速さだ。
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1人で入ったはずのお店の暖簾を2人でくぐる。夜風に当たった時にはもうジェシーくんとの間に気まずさも無駄な遠慮もなくて、改めてジェシーくんのコミュニケーション力の高さを実感する。
ジェシーくんはいともスマートに奢ってくれて、街灯と月の光しかない暗がりの中で「お誕生日おめでとう」と改めて言われた時には、ちょっとだけ、いやかなり胸がドキッとした。慣れてないからだろうか。
「連絡先教えて？」
「あ、うん。いいよ」
「今度ご飯誘ってもいいですか」
「もちろんです」
ちょっと畏まることが、今は少し恥ずかしい。ほんの1時間前には有り得なかったことだ。
「畏まると緊張するね」
「さっき会ったばっかりなのにね」
「ジェシーくんが凄いんだよ」
「おれ？俺なんか凄いことしたっけ」
「人と距離縮めるのが上手って、よく言われない？」
「それはAちゃん相手だからだよ？仲良くなりたかったから」
ジェシーくんがQRコードを提示してくれるから、読み取ろうとカメラを起動したところで、私のスマホの画面が着信に切り替わった。
「あ、……大家さん」
連絡を取る機会なんて滅多にないけれど、念の為に電話番号を登録していたマンションの大家さんからの着信だった。
あとで掛け直そうと無視をしていたけれど、一向に鳴り止みそうにない着信を告げる音。こんな夜遅くに、絶対に伝えなくちゃいけないことって、なんだろうか。嫌な汗が額を流れ、変に胸騒ぎがした。
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作者名：Ne子 | 作成日時：2023年7月27日 19時
