Cheers (ページ23)

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「でもさっきさ？Aが『お店出せるよ！』って言ってくれたの、嬉しかった。冗談だったかもしれないけど」
「本気で思ったよ」
「あんま人に言ったこともないし、応援してもらえたことないから、ほんとに嬉しかったんだ」
「私が100人分の応援する」
「ううん。A 1人だけで充分。それだけで、頑張れるよ」

ジェシーくんの方を向けば、久しぶりに目が合う。その、あまりに近い距離に今度は私が俯いた。適当に足を入れていたつっかけのサンダルを、意味はないけど見つめてみる。

「私にそんな力あるかな…」
「俺にとってはあるんだよ」

瞬間右手があったかくなった。ジェシーくんの手が、私の手を握ったから。ジェシーくんに捕えられたみたいに、目を逸らせなくなる。

「……」
「……」
「あ、」
「ん？」
「ジェシーくん、ここ蚊に刺されてる」

最後の逃げ道だった。嬉しくて、恥ずかしくて、でも怖くて溶けてしまいそうだから、雰囲気をわざと壊すように、ジェシーくんの腕の赤いところを指差したのだ。

「え！ほんとだ！なんか急に痒くなってきた」
「軟膏どこにある？私持ってく、」

立ち上がろうとして脱いだサンダルが、草の上で転がる。ジェシーくんに腕を掴まれて、気づいた時には柔らかいものが唇に触れていた。食べられるみたいにハムッと唇を甘噛みされて、熱っぽい視線が合う。