Cheers (ページ21)

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「ジェシーくんは、マリさんとどういう繋がりなの？」
「マリさんはね、俺のこと拾ってくれたの」
「…どういうこと？」
「んへへ、そうなるよね(笑)」

縁側に置いてある蚊取り線香の香りが鼻を通った。そのくせジェシーくんの腕には蚊に刺された痕がある。

「俺ね、料理人になりたいの。スペイン料理のシェフ」
「えっ、そうなの」
「そう。俺ここから近いレストランで働きながら修行してるんだけど、マリさんはそこにお客さんとして来てて」
「うん」
「『俺、実家飛び出して来たから家が無いんですー』ってなんとなく話した時に『じゃあウチに来な』って言ってくれたの」
「マリさんカッコいい」
「でしょ？その日からすぐに住まわせてもらっててさ。ほんとに感謝だよね」

ジェシーくんは、シェフになりたいのか。作ってくれる料理があれだけ美味しくて凝ったものなのも納得だ。

「しかもね、俺がここに住むって決まってから、マリさんキッチンリフォームしてくれたんだよ。俺がここで料理作りやすいように」
「そうなの？だからキッチンだけ洋風なんだ。オシャレだなぁと思ってた」
「そう。リビングと雰囲気違うけど、これもこれでいいよね」

この家に初めてお邪魔した時から思っていた疑問が、一つ一つ解決されていく。謎多きジェシーくんのことも、少しずつ分かってきて嬉しかった。