Cheers (ページ15)

今日:24 hit、昨日:94 hit、合計:100,665 hit

. ページ15

.

私がスプーンを持って、雑炊を掬って口に入れるまで、ジェシーくんは監視するみたいにずーっと見てきた。

「それは、何顔？」
「んー、心配顔」
「心配してくれてるの？」
「当たり前じゃん！色々あったんだし、頑張りすぎないでね。何も知らない俺が言えたことじゃないけどさ」

ジェシーくんなら、私の不安も全部受け止めてくれるかもしれないと思った。スプーンを置いて、ベッドの縁に寄りかかると、ジェシーくんも隣に来てくれた。

「……今年度にね、昇進して部下も抱えて、プロジェクト任せてもらえるようになったの」
「えぇー！すごい」
「だから、期待に応えなきゃってプレッシャーが、すごくて」
「そっか」
「正直しんどいけど、…乗り越えたい」
「カッコいい。Aスゲーカッコいいよ」
「そんなことないよ。いっぱいいっぱいだし…」

それに、人に頼るのは得意じゃないし、だからミスを沢山してきたし、それで焦ってまた失敗して、でも外側は「頼れる上司」「使える部下」で居続けられるようになんとか取り繕ってきた。1人でリーダーを務めさせてもらえるようになったことは嬉しいけれど、「無理かもしれない」と弱音を吐きたくなる時だって、偶にあるんだ。

「おいで」
「え？」
「ハグってストレス減るんだよ。知ってる？」
「知ってる、けど」
「だから、おいで？」

私の方へ両手を広げてくれているジェシーくんの胸に恐る恐る近づいたら、包み込むみたいにギュッと抱きしめられた。その勢いにバランスを崩して、今全体重がジェシーくんにかかっているけれど、全くグラつく様子はない。ゆっくりジェシーくんの背中に腕を回した。

「どう？ストレス減った？」
「ちょっと、減った、かも…」
「よかった」

よしよし。なんて言葉と共にまるで子供にするみたいに頭を撫でられた。それから、もう一度腕の力が強くなる。ギュッと抱きしめ返せば、足りてなかった身体の栄養が満たされる心地がする。ジェシーくんの腕の中はすごくあたたかくて、眠たくなってしまった。