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次の日は朝早く起きて、マンションを確認しにいった。電車は乗り換えがあるし、駅から少し距離もあるのに、ジェシーくんも当たり前のようについてきてくれて、心強かった。
部屋は思ったより被害が少なくて、びしょ濡れだったけれど部分的にリフォームすれば住めるくらいだった。ただ、家具や雑貨ごとここを手放すという心づもりは変わらず。使える小物や着られる服は今居候させていただいてる家にまとめて送った。大家さんと燐家の方からの謝罪や、今後の諸々の相談を終えたのが正午過ぎで、それからジェシーくんと適当に昼食を食べて、生活に必要なものを買いに来た。
でも有難いことに、家具も雑貨もほぼ全て揃っている彼の家に居候させていただいてるから、今必要なものといえば、だいぶ手放すことになってしまった夏服くらいだった。
「ジェシーくん、先帰ってていいよ？」
「なぁんでよ」
「私、服決めるの時間かかるし、つまんないだろうし…」
「えっ、楽しいよ？俺さ、Aちゃんに着てほしい服見つけたの」
「えー？」
「ちょっと来て」
何度も1人で洋服を買いに来てる駅ビルに、ジェシーくんといることが私的には恥ずかしかったけれど、ジェシーくんはこういうのに慣れてるのか、さっきから私が手に取ったものを全て肯定してくれる。女子の心が分かってるなぁと思う。
「どれ？」
「これ」
私に着てほしい服。ジェシーくんが手に取ったのは、花柄のワンピースだった。白地に赤い花柄で、夏風に揺られてヒラヒラと女性らしく靡くようなロングワンピース。最近はモノトーンばかりで、華やかな色味や花柄とは疎遠になっていたけれど、着たくないわけじゃなくて。むしろすごく憧れてた。でも、
「似合うかな…」
「俺にはもう見えてるんだけど、Aちゃんがこれ着て歩いてる姿。てか着てほしい！」
「ジェシーくんはこういうのが似合う女の子が好きなんだね」
「それもあるけど、Aちゃんに似合うと思ったの！」
ジェシーくんの根拠のない自信に押されて、一度試着てみることにした。袖を通してみれば、意外と、顔が明るく見えてアリかもしれない。
「どう、かな」
「マジか…」
「えっ」
カーテンを開けてジェシーくんと対面すれば、彼は目を見開いて固まってしまった。もしかしたら、想像と違ったのかもしれない。
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作者名：Ne子 | 作成日時：2023年7月27日 19時
