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私が醤油ラーメンを頼みたくない理由。それは、紛れもなくこの人のせいだ。ここには付き合ってた頃、何回か一緒に来たことがある。安くて美味しいんだよって、私が教えてあげた。ジェシーも私も、定番の醤油ラーメンが好きで、2人して決まって同じものを頼んでいた。思い出したくないから避けたのに、まさか本人が現れたら、思い出すも何もないじゃないか。
「これ、店長からサービスだって」
樹くんが、私たちの真ん中に一人前の餃子を一皿置いた。2人でシェアしてねって、ことだろうか。
「え、大丈夫だよ」
「2人いつも餃子頼んでるからって、おじさん言ってたけど…」
「あー、それは……」
「あ、余計なことした？」
「いや……」
ごめん樹くん。申し訳ないけれど、正直すごく余計だ。このタイミングで、気まずさにさらに追い討ちをかけてくる攻撃。もう頭を抱えるしかない。
「せっかくサービスしてもらったんだし、食べようよ」
「……うん」
「お兄さんありがとう」
「……樹くんありがとう。いただきます」
ジェシーは樹くんにお礼を言って、「腹減ってたんだよー」と嘆きながら、餃子を口に運ぶ。その顔は、いつも通りで。私だけが、泣きそうだ。
樹くんは去り際、私にだけ見えるように陰でごめん！という顔をした。あぁ、また、人に気を遣わせてしまった。私が上手くやれば良いだけなのに、どうもそれができない。
樹くんは、私たちの関係を知らなかったんだと思う。かつてこの店に2人で来た時に、樹くんと会ったことはなかったから。2人で来た時には、確かにいつも、一皿に６つ乗った餃子を分けて食べていた。だから店主は私たちに本来なら有り難すぎるサービスをしてくれたんだ。
ただ、もう私達は別れている。一皿を2人で分けるなんて、正直したくない。鍵をかけたはずの引き出しを、無理やりこじ開けられるような感覚がした。
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akikuma(プロフ) - 切ないですね…大好き"だった"、好き"だった"人、過去形なのがなんとも切なすぎます😭みんな幸せになれー！って心の中で叫んじゃいました！ (9月27日 7時) (
レス) @page45 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
Ne子(プロフ) - akikumaさん» はじめまして！わーいありがとうございます😭 (9月26日 23時) (レス) id: c4997b2b87 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - はじめまして！大好きなお話です！！また更新されて嬉しいです🥰続き楽しみにしてます！ (9月26日 17時) (レス) @page42 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2023年3月30日 0時
