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大勢の靴の音が入り乱れる地下鉄のホームから地上に上がり、改札を抜けた。駅から会社までの約5分の道のりを歩く。いつもより一本早い電車で着いたから、人の波に流されながらもゆっくり歩いていたら、突然後ろから肩を叩かれた。
「おはよー。A」
「あっ、夏帆。おはよう」
同期の夏帆。部署は違うけど、新人研修の時に話しかけてくれたことがきっかけ仲良くなって、それから長い付き合いだ。
夏帆は、私の横に並んだかと思えば、顔を覗き込んできた。昨晩泣いてしまったことがバレるのは、なんとなく避けたい。咄嗟に手で顔を隠すけれど、こうした方が怪しまれるということに、隠してから気づいた。
「昨日泣いた？」
「泣いてないよ」
「目腫れてるよ」
「嘘。ちゃんと冷やしたんだけどな」
「泣いたじゃん」
「だって……まだ、3日だよ？」
「そうね。3年も付き合ってたわけだしね」
夏帆は、私の変化にとても鋭い。
振られてから3日。たった3日。段々と実感が湧いてきて、昨日はベッドに入ってから少しだけ泣いてしまった。
「でもまあ、引き摺ってる暇あったら次行こうよって話だわ」
「そんな簡単に…」
「だって私達もう四捨五入したらアラサーよ？」
「まあ、そうだね」
26歳。四捨五入したらアラサー、本当にそうだ。周りでは結婚する人も子供を産む人も増えて、焦りはしないけど、そういう雰囲気や話題は、割と疲れるのだ。
「はい。コーヒーと、チョコレートね、あげる」
「え、いいよ」
「慰めよ。慰め」
まだ落ち込んでるだろうなーと思ってたから、と夏帆はコンビニのコーヒーと食べきりサイズのチョコレートを渡してくれる。悪いなぁ。有難いけど、凄く気を使わせている気がする。
「ねぇ、お金出すとかやめてね。たかが200円とかなんだから」
「あ、お金……」
「なに？」
夏帆にお金を返そうとして財布を出したところで、思い出した。3日前のラーメン屋でのやりとり。あの日、私は知らない人に千円札を貰った。あれは本当に、何だったんだ？
「なに……お金のトラブル？」
「いや、あのね」
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akikuma(プロフ) - 切ないですね…大好き"だった"、好き"だった"人、過去形なのがなんとも切なすぎます😭みんな幸せになれー！って心の中で叫んじゃいました！ (9月27日 7時) (
レス) @page45 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
Ne子(プロフ) - akikumaさん» はじめまして！わーいありがとうございます😭 (9月26日 23時) (レス) id: c4997b2b87 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - はじめまして！大好きなお話です！！また更新されて嬉しいです🥰続き楽しみにしてます！ (9月26日 17時) (レス) @page42 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2023年3月30日 0時
