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ジェシーが角を曲がる前に、私も背を向けた。暗い夜、どんよりとした雲の下、1人で帰路に着けば、またちょっとだけ涙が出る。
私の住んでいるマンションの近くには、小さな公園がある。滑り台と砂場、という最低限の遊具と、2人がけのベンチがポツンと置かれている。昼間は楽しい場所のはずなのに、夜になるとどこか哀愁の漂うそこが、私は好きだった。
公園を照らす街灯が白く光る。いつもなら誰もいないはずのベンチの前で、しゃがみ込む人影と、その人の手に擦り寄る猫がいた。あぁ、私はその影を、知っている。無意識に、猫背の背中に近づいていた。
「……こんばんは」
「あっ、……どうも」
彼、松村さんは私を見上げて驚いたけれど、すぐに猫に向き直ってしまった。丈の長いコートの裾も気にせず、私も隣にしゃがみ込んだ。なぜだか、1人にはなりたくなかった。猫は依然として彼にすりすりと甘えている。
「可愛い…」
「でしょ。俺の友達です」
ふわっと笑う彼の顔。初めて見た顔。私の心の弱ってるところに、ちょっとだけ沁みた。猫と同じように彼にも何か、癒し効果があるのかもしれない。微笑ましく彼と猫の様子を見ていると、突然見つめられる。
「……また泣いた」
「え？……泣いてないよ」
顔を隠すように、咄嗟に俯いた。そして、少しだけ笑ってみた。逆にぎこちなかったかもしれない。
さっき少しだけ涙が出たけれど、誰かに会うと思っていなかったから、油断していた。顔を合わせる度に泣いている女、なんて思われたくない。情けなすぎる。
「あなたを泣かせる原因は、なんですか？」
「……へ？」
返ってきたのは、意外な言葉だった。
「あ、すいません。話しにくければ大丈夫なんですけど、でも、」
「あなたが泣いてると、なぜか放っておけない」
まっすぐな黒い瞳に、吸い込まれてしまいそうだ。
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akikuma(プロフ) - 切ないですね…大好き"だった"、好き"だった"人、過去形なのがなんとも切なすぎます😭みんな幸せになれー！って心の中で叫んじゃいました！ (9月27日 7時) (
レス) @page45 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
Ne子(プロフ) - akikumaさん» はじめまして！わーいありがとうございます😭 (9月26日 23時) (レス) id: c4997b2b87 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - はじめまして！大好きなお話です！！また更新されて嬉しいです🥰続き楽しみにしてます！ (9月26日 17時) (レス) @page42 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2023年3月30日 0時
