0 _偶然と必然 ページ1
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人生に疲れてしまったときのラーメンは、私の救いだ。仕事とか、人間関係とか、恋愛とか、全てのことを無視して、ただラーメンに意識を集中させることで悲しくって泣きたくなるような現実を忘れられるから。
行きつけのラーメン屋の、カウンターの端っこ。スマホに残っている思い出の写真を一枚一枚、消していく。このデータを消すと同時に、記憶まで消えてしまえばいいのに、なんて思う。
付き合っていた彼に、突然振られた。彼のことは好きだったし、愛されていた自負もある。全て丸くなってしまった消しゴムみたいに、新鮮な気持ちで使える部分はもう無かったかもしれないけれど、その存在に、安心は出来た。それだけじゃ、ダメだったのだろうか。
熱々のラーメンを熱々のうちに食べ切れたことないな、と思いながらも、諦めたくなくて箸を進める。
「これ」
咀嚼するために箸を置いたところで、低くて、透き通った声がした。左後ろから誰かの腕が伸びてきて、突然テーブルに置かれた千円札。辿れば、髪のもさっとした黒髪の知らない青年が、私を見つめている。
「…へ」
「泣いてるから。これで、払ってください、今日は。奢ります」
行動は突拍子もないのに、彼は辿々しい口調で、目を合わせてくれない。彼が机上に置いた千円札を指先で持ち上げてみる。本物の、千円札だ。
「あ、え？でも」
「気にしないでください。俺が徳を貯めてるだけなんで」
「はぁ、いや、いやいや……」
「いいんです」
自信はなさそうなのに、意思は頑なだ。
「……すいません。ありがとう、ございます」
呆然とする私をよそに、そのまま店主に「ご馳走様でした」と言って出ていった彼。
その瞳の奥は重たい前髪で見えなかった。
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akikuma(プロフ) - 切ないですね…大好き"だった"、好き"だった"人、過去形なのがなんとも切なすぎます😭みんな幸せになれー！って心の中で叫んじゃいました！ (9月27日 7時) (
レス) @page45 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
Ne子(プロフ) - akikumaさん» はじめまして！わーいありがとうございます😭 (9月26日 23時) (レス) id: c4997b2b87 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - はじめまして！大好きなお話です！！また更新されて嬉しいです🥰続き楽しみにしてます！ (9月26日 17時) (レス) @page42 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ne子 | 作成日時：2023年3月30日 0時
