伍拾質 ページ9
その日の夜
『剣心と薫ちゃん、帰ってこおへんなぁ…』
すっかり冷めてしまった夕餉を目の前にしてAは、はぁ…と溜息をついた。
もう帰ってきても良い頃なのに…
温め直そうかと、立ち上がったその時。
剣心「A、ただいま。」
薫「ただいまー!」
剣心と薫の声がした。
Aは小走りで行き、三つ指をつく。
『剣心、薫ちゃんおかえりなさい。何したん、こんな遅くまで…』
剣心「弥彦を連れてきた。」
『へぇ…え?』
その言葉に思わず顔をあげる。
見れば剣心は弥彦の首根っこを、背負う形で持ち上げていた。
『まあ酷いお怪我…お医者様に行かれた方がええんとちがいますか?』
剣心「そうだな。でもまずは風呂か…」
『ええ、そうしましょか。御用意できとります。』
剣心「ありがとう。」
剣心はそう言うと弥彦を持ったまま風呂に向かった。
『薫ちゃん、お腹空いてない?御飯用意しておいたんやけども…』
薫「ありがとう!頂くわ!」
薫も竹刀を持ったまま居間へと向かって行った。
『まぁ…本当に自由だこと…』
半分呆れつつも、薫の飯を温めにAも居間へ向かった。
薫「うーん!美味しいっ!」
『あ…温め直そうかと思っとったんやけど…』
薫「平気よ!美味しいもの!」
『ほんなら良かった。』
Aも薫の向かいに腰掛ける。
『弥彦くん、ここのお家に住んでもらうの?』
薫「ええ。その予定よ。」
『生活費…足りる?』
薫「ゔっ…」
薫の顔が一気に青くなった。
『あのね、うちも働こう思っとったんよ。よかったら協力させて?』
薫「えっ!?いいの?」
『ええ、もちろん。』
薫の表情が一変した。
剣心「薫殿、薬箱はあるでござるか?」
剣心が風呂上がりの弥彦を連れて言う。
薫「うん、そこの棚よ。」
剣心「かたじけない。」
『あ、剣心。お夕餉いる?』
剣心「ああ、頂くでござるよ。」
『弥彦くんの分もあるから召し上がって?』
Aは弥彦の目線に腰を折るとにこりと微笑って言った。
途端に弥彦の顔が真っ赤に染まる。
弥彦「お…おう!」
薫「あら?弥彦。Aさん見て赤くなってんじゃないの?ダメよダメ。こーんなに美人なAさんはあんたみたいな奴相手にしないんだから!」
弥彦「うるっせえブス!」
薫「なっ…なんですって!?こら弥彦!!」
また賑やかな居候が増えました。
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モブキャラ - 私『刀姫』読みました!!とっても面白くて、最高でした!「刀姫』もこのお話も更新楽しみにして待っています!色々あってお気に入り登録できませんが、私の中ではお気に入り登録認定されてますので!頑張って下さい (2020年9月10日 5時) (レス) id: 8ce7db365e (このIDを非表示/違反報告)
あんじゅ - 最高 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0aa15127f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚姫 | 作成日時:2016年8月27日 22時