玖拾捌 ページ50
『大久保はんが…暗殺…』
薫「ええ、表でそう言ってたわ…」
『…うち、ちょっと出掛けてくるね。』
薫「?行ってらっしゃい。」
Aは前日にまとめて置いた荷を薫にばれぬよう持ち出し、剣心の元へ行った。
『剣心…』
彼は夕暮れ迫る橋の上にいた。
声を掛ければ悲しそうな顔をしてこちらを向く。
剣心「A。さっき川路殿に会ってきた。すごく、悲しんでいた。」
『お気の毒やね…やっぱり志々雄はんが…?』
剣心「ああ、おそらくヤツの手下に違いない。」
『…京都に行きますか。』
剣心「ああ、行くよ。京都に。」
『薫ちゃん、悲しむやろな…』
剣心「もともと俺たちは流れていたんだ。あそこには少し長く留まりすぎた。」
『…そう、やね。』
Aはぎゅっと荷を持つ手に力を入れた。
剣心「何も、会えなくなるわけじゃないだろ?」
『…うん。』
剣心「…そんなに悲しい顔をしないで。何だか気が引けてしまう。」
『…でも、寂しいもん。やっとお友達が出来たのに。』
剣心「Aなら、どこでだって友達くらいできるよ。」
剣心がそう言うとAは力なく首を横に振った。
『…うち本当はね、臆病で人見知りやの。それでも、そんなうちにみんなと変わらんで話しかけてくれる人なんて、薫ちゃんと恵ちゃんしかおらん…』
剣心「A。泣かないで」
『…うん…っ、…ごめん。』
剣心「…薫殿に挨拶してくる。少し待ってて。」
『…うん。』
剣心はAの涙を拭ってやると、神谷道場に向かって歩き出した。
そして五月十四日。
緋村剣心とAは、再び流浪人となって時代を流れてゆく…_____
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モブキャラ - 私『刀姫』読みました!!とっても面白くて、最高でした!「刀姫』もこのお話も更新楽しみにして待っています!色々あってお気に入り登録できませんが、私の中ではお気に入り登録認定されてますので!頑張って下さい (2020年9月10日 5時) (レス) id: 8ce7db365e (このIDを非表示/違反報告)
あんじゅ - 最高 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0aa15127f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚姫 | 作成日時:2016年8月27日 22時