玖拾壱 ページ43
翌朝まで道場に篭りきっていた剣心に痺れを切らしたAは彼に声を掛ける。
『剣心、何か食べへんと体に毒よ。ほら、おにぎり作ってきたから一緒に食べよ？』
剣心「…A」
剣心の声は少し掠れていて、表情も暗い。
『一はんやね。』
剣心「分かっていたのか。」
『ええ。何度もここに来られましたから。』
Aは剣心の隣に腰を下ろし、盆を置いた。
驚き目を見開く彼を他所に、Aは自身の握った握り飯を美味しそうに頬張る。
『美味しくできとる。剣心も食べて？』
Aはそう言って剣心の目の前に握り飯を差し出した。
海苔の香りが漂い、剣心の鼻腔をくすぐる。
剣心「いや、俺は…食欲がないから…」
ぐぅ…
静かな道場に剣心の腹の音が鳴り響いた。
剣心「…やっぱり貰う。」
『ふふ、ええどうぞ。』
剣心は正直な腹の虫を憎みつつ顔を真っ赤に染めて握り飯を受け取る。
剣心「…美味い。」
『でしょ？』
＊＊＊
剣心「A。」
『なぁに？』
結局全ての握り飯をペロリと平らげてしまった剣心は茶を啜った。
剣心「俺は今日これから斎藤に呼ばれている。」
『一はんに…』
剣心「すぐ帰ってくるが、くれぐれも気を付けてくれ。」
『はい…分かりました。』
Aはそう返事をすると剣心の刀を持って来た。
『どうかご武運を。何だか嫌な予感がします…』
剣心「ああ。ありがとう。」
剣心は彼女の額に軽く口付けを落とすと安心させるように笑いかける。
Aはそれにつられるようになって笑ったが、彼女の内心は決して穏やかではなかった。
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モブキャラ - 私『刀姫』読みました！！とっても面白くて、最高でした！「刀姫』もこのお話も更新楽しみにして待っています！色々あってお気に入り登録できませんが、私の中ではお気に入り登録認定されてますので！頑張って下さい (2020年9月10日 5時) (
レス) id: 8ce7db365e (このIDを非表示/違反報告)
あんじゅ - 最高 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0aa15127f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚姫 | 作成日時：2016年8月27日 22時
