捌拾玖 ページ41
翌日
『皆んな居らへんの？』
左之助「ああ。ったくよー、俺たち置いてどこ行きやがったんでぃ…」
世間一般的にはなかなか遅い時刻で起床した左之助とAは道場にいた。
左之助は胡座を掻いて愚痴を零し、Aはそんな彼の脇にちんまりと座っている。
左之助「あー。腹減ったな…」
『なら何か作ってきましょうか？』
左之助「本当か！？ありがてぇ…」
『ちょっと待っててね。』
Aはそう言うと底の高い下駄をコロコロと鳴らしながら厨へと危なっかしく行った。
左之助「Aの飯が食えるなら、置いて行かれてもよかったかもな。」
自分の為に急いで準備をする彼女に左之助は鼻の下を伸ばす。
「ちわー！」
左之助「あん？何だてめぇ。」
「あ、申し遅れました。私石田散薬という薬を扱う者で…」
その男は大きな荷物を地に置いた。
「藤田五郎…と、申します…」
随分と細い目をした男であった。
＊＊＊
『左之助はん、お昼餉できました。』
いつもなら食いつくように走ってくる彼がこない。
不思議に思って盆を縁側に置き、道場の方に行った。
『左之助はん？……っ！』
大量の砂埃、そして微かな血の匂いの中、人影が見える。
『っあんさんは…』
斎藤「胡蝶、いたのか。」
折れた刀を肩に担ぐ斎藤は、薄ら笑いを浮かべてこちらを見ていた。
斎藤「土方さんの恋文は読んだか？」
『…読んどりません。それより左之助はんに何をしたの…』
その口調は疑問ではなく肯定である。
斎藤「置き土産だ。抜刀斎にそう伝えろ。」
『何をしたのですか。』
曖昧な答えの彼に更に強い口調で問う。
斎藤「フッ…そんなもの、自分で確かめろ。」
斎藤は薬の箱を担ぐと、敷地を出ていった。
『…っ左之助はん！』
と同時に、道場の中にいるであろう彼の元へ向かう。
『左之助はん！ねえ、左之助はん！起きてっ…』
Aが見たのは。
…＿＿右肩から鮮血を大量に流し倒れる左之助であった。
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モブキャラ - 私『刀姫』読みました！！とっても面白くて、最高でした！「刀姫』もこのお話も更新楽しみにして待っています！色々あってお気に入り登録できませんが、私の中ではお気に入り登録認定されてますので！頑張って下さい (2020年9月10日 5時) (
レス) id: 8ce7db365e (このIDを非表示/違反報告)
あんじゅ - 最高 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0aa15127f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚姫 | 作成日時：2016年8月27日 22時
