捌拾肆 ページ36
薫「それじゃあ私、お風呂に入ってくるね。」
『ええ、いってらっしゃい。』
飯を作り終えた2人は各自自分のやりたいようにして、皆を待っている。
Aは剣心の着物のほつれを縫っていた。
『…大丈夫。…大丈夫…』
いつもより作業が進まないと思えば、自分の手が震えている。
それを自己暗示をかけて何とか気持ちを鎮めた。
親離れできない子供でもあるまいし、これしきの留守番さえ我慢できないとは。
思わず自嘲気味に笑う。
すると突然強い風が吹き始め、雨戸が大きな音を立てて揺れた。
『きゃっ…』
もうすぐ雨でも降るのか。
何気無く外の様子を伺おうと雨戸を開けてみる。
『…っ!』
するとそこにいたのは
蒼紫「探したぞ、胡蝶。」
四ノ森蒼紫その人だった。
『蒼紫はん…久しぶりどす。何の御用どすやろか。』
彼の目は酷く曇り、虚ろであった。
蒼紫「あの日の答え、受け取りに来た。」
『待たせておいて申し訳ないけど、勘弁しておくれやす。うちはもう此処に身を置かせて頂いておりますのんで。』
蒼紫「そう言うとは思っていた。だが諦めん。必ずまた会いに来る。」
再び強い風が吹き荒れると、いつの間にか蒼紫は消えていた。
薫「Aさん大丈夫だった?凄く強い風が吹いていたけど…」
『ええ。大丈夫やよ。薫ちゃんこそ、平気やった?』
薫「うん、私も大丈夫よ。…みんな、まだ帰ってこない?」
薫は少し不安そうに玄関を見つめた。
『そうやね。まだ帰って来うへんなぁ。』
2人の不安な夜はまだまだ続く。
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モブキャラ - 私『刀姫』読みました!!とっても面白くて、最高でした!「刀姫』もこのお話も更新楽しみにして待っています!色々あってお気に入り登録できませんが、私の中ではお気に入り登録認定されてますので!頑張って下さい (2020年9月10日 5時) (レス) id: 8ce7db365e (このIDを非表示/違反報告)
あんじゅ - 最高 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0aa15127f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚姫 | 作成日時:2016年8月27日 22時