愛され黒尾くんが彼女をつくらない理由

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黒尾side


回想


年度初めに配られる学年通信のようなもの

学年の担任や副担任、教科担当の先生の名前がずらりと書いてあって

指でたどって先生の名前を探す

国語科…早田 緑

緑先生は国語の先生か

でも俺のクラスの担当じゃない

話がしたいけど話す口実がない

もう一度髪に目を通せば下に教育相談部という欄があった

担当は緑先生だった

″気軽に話に来てください″

国語科準備室に普段いるみたいだ

…放課後寄ってみようかな






___





国語科準備室前

ドアを二、三度ノックしたら緑先生の返答が聞こえて中へ入れば
先生は俺を見てニコッと笑った

「黒尾君、ここに来た生徒第一号だよ」

先生の机の前に置いてある椅子に腰掛けた

「どうしたの？」

目的…ただ話に来ましたってだけじゃ帰れって言われそうだな

「勉強教えて欲しくて」

「勉強？学習道具何も持ってきてないのに？」

咄嗟についた嘘がバレてしまいたじろぐと
先生はふふっと笑って
先生が座る椅子の軋む音がギシギシと鳴った

「…ここには私しか使わないから
他の国語担当の先生は担任を受け持ってらっしゃるからね
私は担任受け取ってないの
だから、気軽に話して？」



「ただ話したくて」


一瞬先生は目を見開いたがすぐに元に戻った


「私も話したかった

黒尾君は私にとって弟のような存在だもの」

弟か

「彼氏とも話してたの、黒尾くん元気にしてるだろうかって」


「彼氏って俺が小6の時から付き合ってた人ですか？」

「そうそう、1度か2度会ったことあるよね？」

「はい、…なんだか嬉しいです」



「ふふ、そう？」



やっぱりまだ付き合ってた

あんだけ仲良かったしそりゃそうか









それから俺が知らない間の事を緑さんは話してくれた
彼氏が有名企業に就職したこととか
嬉しい反面なんだかモヤモヤしながら聞いていたな
でも今思えばもう少し先生の話に反応して聞けば良かったかもしれない

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