愛され黒尾くんが彼女をつくらない理由

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Aside

連れてこられたのは普通の住宅街


私の家がある方面とは違い、ここらへんは初めて通る

同じ東京なのにこの町は知らない



ある家の前で黒尾さんは立ち止まった


『ここって…』


「前付き合っていた人が住んでいた所」


付き合っていた人…そのさっきの人達が言っていた
先生…？


すると、私たちの横を数人が通り過ぎて先輩が言うその家の中へ入っていった


「今日楽しかったー！」

「また行こうな、遊園地」

「そうね、また行きましょう」

「ねぇお母さん今日の夜ご飯なーに！」

「今日はハンバーグよ！」

「やったぁ！ハンバーグだ！」

「良かったなぁ、お前の好きな料理だもんな！」

こんな会話が聞こえた
多分家族だろう
会話は微笑ましいのに黒尾さんの顔は曇る一方だ
普段ならクスリと笑える会話なのに口角すら上げることができない


『ここの家族って…』


「今はその俺の元カノはいない。その次に引っ越して来た家族があの人たちなんだ」


『そうなんですか…』


「俺のせいで、元カノは引越してこの町を去ったんだ」


『じゃあ今って…』


「分からない、あれから今彼女はどこにいて何をしているか知らないんだ」

そうだったんだ…


『あのさっきの先輩たちが言ってたことって…』


「もちろん、本当だ。彼女の両親から言われたのも事実。」


そんな…



「俺は彼女の人生を狂わせた…人殺し同然だ」


黒尾先輩の過去を聞くことになる

こんな道中で話をきくのも少し気が引けて

だから近くのカフェへ場所を移した

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