愛され黒尾くんが彼女をつくらない理由

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Aside


土曜日



現在、8時半


いつもなら寝ているところだけど今は体育館前にいる。



全員分のドリンクとお菓子を両手に持っていざ体育館へ…！



といきたいところだけどめっちゃ体育館入りにくい。



この差し入れだけ置いて逃げようかな…




でも夜久先輩にせっかく教えてもらったんだし…




「あの…君、今日この体育館使うのバレー部だよ。場所分かんないなら俺が教え…って春田ちゃん！？」


ユニフォームを着た新鮮な黒尾先輩が後ろに立っていた。




「え、どうしてここに！？ってかなんで！？」



めちゃめちゃ驚く黒尾先輩。




「おーおー驚いてるよ黒尾ｸﾝ。めっちゃ動揺してるけど、これから試合だぞ？大丈夫か？？」


「夜久…お前だな！？あ、この前2人でこそこそ話してる時に教えたんだな！？」



ニヤニヤする夜久先輩にズンズンと黒尾先輩が歩みよる。



『応援しにきました！これ、差し入れです！』



「おぉードリンクにお菓子にこれはなんだ…ケーキ？」

「…アップルパイだろこれ。てことは研磨だな！」


『あ、はい！研磨くんが音駒の皆さんはアップルパイが好きって聞いたんで！焼きたてですよ』


「絶対研磨が食いたいだけだろっ！」


黒尾先輩がツッコミを入れる。
研磨くん好きなんだ、アップルパイ。
じゃあ先輩の好物ってなんだろう、後で聞いてみよう。



『それより、先輩ひどいですよ！私を他人扱いしちゃって！』

「いや、すまんすまん。てっきり、他所の部活のマネージャーかと思ったわ。
ウチはマネージャーいねぇからさ。でも、嬉しいわ、さんきゅ」


ニカッと笑っては私の頭をくしゃっとする。



せっかく今日髪セットしてきたのに…



でも自然と笑みがこぼれる。








そんな私たちを遠目に見てるたくさんの視線に私は気づかなかった。



そして、練習試合が始まる。

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