飛べなくなった愛され少女（HQ）

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Aside



『…なんで』




「お前がバレー頑張ってたのは知ってる。


実力だってあるし、お前はセンスがあると思う。


お前が1年の時に春高に出て全国の強いやつと戦うのが夢だって言ってた。



それは叶わない。

お前はもう選手として戦うことはできないだろう。



でもそれが全てじゃない。



試合に出ることが全ての戦いじゃなくて、
別にも戦い方はある。






ひたすら練習しても渡り合える強さは身につかないと思う。






強くなるには強くなるための″環境″が必要だ。









烏野には素質を持った部員はたくさんいる。



それだけじゃダメなんだ。


強くなるにはいい指導者が必要だ。
だが、ウチには武田先生や烏養監督といった最強の指導者がいる。




いくら指導者が良くても十分に俺たちがバレーをできる環境がなくてはならない。
ウチには清水ややっちゃんがいる。





全部見えないけど繋がっているんだ。




先生やマネージャーも自分なりの″戦い方″で俺たちと共に戦っているんだ。





そして、Aが入れば

人数も増えて、新しいことに挑戦できる。





お前のバレーの才能とセンスで俺たちのプレーに活かしたい。




そうすれば、烏野はまた進化を遂げると思う。」






「俺も賛成だ」

「私も澤村に賛成する。一緒に頑張ろう？」

「大地に賛成だ。」

菅原や東峰、潔子ちゃんが真剣に答えた。






「どうだ？A？

一緒に全国目指そうぜ！


そして、
お前の夢だったオレンジコートへ行こう！」






『やる…やります。』



考える間もなく私はきっぱり答えた。




言ったもんだから後戻り出来ない。
…いや、後戻りしない。




微塵も後悔はしてないし、先は見えないけど…なんだろうすごくわくわくしている。







私は忘れかけていた。

バレーにハマった瞬間に味わった言葉にできないこの感覚を。





懐かしくて、でもなんだか新鮮で、涙が出そうになったけれどグッとこらえた。







もう私は試合には出れない。




けれど皆を支えてチームを勝利へ導く。




私なりの戦い方で、澤村達と全国を目指したい。









まだ私は飛べる。









いいや、私なりに飛んでみせる。









これが私のバレーだ。

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