１３話 ページ15
「はッ…は…遠くまで来すぎちゃったかな…」
溢れる涙を拭いながら小屋を走り去った桜楽
は、涙も落ち着いた頃にやっと足を止めた。
後ろを振り返れば当然小屋が見えることなどな
く、暗くなった山道が続いている。
山を降りすぎた…そう気づいた時には随分と降
りてきてしまってからだ
目元に滲む涙が、夏だというのに風にあたって
スースーとする
「戻ろう…」
「め……桜楽か？」
ゴシゴシと乱暴に涙を拭いて道へ引き返そうと
来た道を振り向けば、突然にかけられた声。
同じ学校だというのに、随分長く聞いていなか
ったその声は真っ直ぐにこちらに向けられてい
る
「ゆきあつ…？」
「久しぶり…同じ学校なのに変な感じだな」
声のほうへ振り返れば、そこにはバーベキュー
用品であろうか…重そうな袋を持ったゆきあつ
こと松雪集が桜楽に微笑んでいた
「う‥うん！久しぶり！ゆきあつは今来たところ？」
「ああ…もう皆集まってるか？」
「多分ちょうど良いころなんじゃないかな？」
微笑んでくれる集に桜楽も微笑みかえすが、自
然と拳を後ろ手に握ってしまう
「じゃあ、一緒に行くか」
「…うん！」
そう言って歩きだした２人…桜楽の歩幅に合わ
せて歩いてくれる優しい集…
しかし、何故だかその優しさが桜楽には辛かっ
た
「桜楽は同じ学校なのによく合わないけど…普段は何してるんだ？」
優しいはずの集の笑みに違和感を感じる…
「いろいろだよ？本読んだり、花瓶の水を入れ替えたりぃ、日向ぼっこしたりぃ…あとはまだ行ったことない所に探検したり！」
「ははは…桜楽らしいな。昔から探検が好きだったからなぁ、桜楽は…」
そう言ってそっと頭を撫でてくれる集…
しかしその行動に桜楽は体を震わせた
「(ちがう…ちがうよ…？)」
「探検隊とか言ってよくやってたっけ…」
懐かしそうに目を細めて話す集に桜楽は違うと
心の中で否定する。
探検が好きだったのは"私"じゃなくて"めいちゃ
ん"だよ？
心の中で必死に否定するも、何故だかその言葉
が口からでることはなかった
カラカラに乾いた喉が張り付いてうまく言葉を
紡げない…。
そんな桜楽とは裏腹に昔話に花を咲かせる集。
あの集の笑みに違和感を感じたのはこれだ…
集は先程会ってからずっと、自分を…本間"桜
楽"を、本間"芽衣子"と重ねているのだ。
その事におそらく気づいていないであろう集は
楽しそうに昔話をするが、桜楽の耳には全く入
ってこない
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Rui - 何回も、読み返してます！！続き、楽しみにしてます！ (2022年7月15日 23時) (
レス) @page27 id: 289fec47e0 (このIDを非表示/違反報告)
。。 - すごく面白いです！これからも更新楽しみにしています！ (2017年3月2日 15時) (レス) id: 6d58c9b9c0 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - イリさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてとっても嬉しいです！しっかりと丸く収まるように頑張ります(’∀’*)ありがとうございました！ (2017年2月20日 11時) (レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
イリ - これからどう話が進んでいくのか楽しみです、続き楽しみにしてます (2017年1月5日 21時) (レス) id: fb6882876f (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - アタさん» ありがとうございます！！私もあの花良いですよね(’∀’*)私も大好です！あの花の素敵な世界観を壊さないように、更新頑張ります！ (2016年12月6日 15時) (レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2015年9月7日 0時
