＜ぴくとはうすVer.＞ ページ45
＜ぴくとはうす＞
ぴ｢セオ君遅いなぁ…。｣
駅で柱にもたれ掛かりながらスマホを確認する。ロック画面に表示された時計には、10:17という数字が浮かんでいた。
今日はセオ君と遊ぶ約束をしていて、電車で来てくれるセオ君と駅で待ち合わせる予定なんだけど…。予定してた時間から15分以上も過ぎてる。別に俺はそこまで時間に厳密じゃないし、なんならルーズな方だと思うんだけど、セオ君が時間以内に来ていないのが心配なのだ。
あの子本当に律儀だからさ…なんなら俺の方が待たせてる場合の方が多かったりして。
(あーでも最初に初めて会った時は緊張してて早めに待ってたんだよな…。)
初めて対面した時のことを思い出す。そういえばあの時にセオ君終電逃して俺の家に泊めたんだよな…。で、あの真実を知って…。
思い出すだけで恥ずかしくなり、首を振ったその時。くいっと、何かが僕のパーカーのすそを引っ張る感覚があった。
やっと来たんだろうか、いや彼女なら声をかけてくるはず。声が出せないとか？風邪？それなら分かるかも。この広い駅の中でのど飴とか風邪薬探してたのかな。
1人で思考を巡らせ、周りを見る。
ぴ｢え…？どこにいんの？｣
けれど、彼女らしい影は見当たらない。でもさっきこの裾を誰か…。
てか、まだ引っ張る感覚残ってるんだけど？
ゾワッと肌が立つ。嘘だろこんなとこで、いやまさかそんなはず。頭の中で必死に訴えかけながらちらっと裾を見ると、白く細く、小さな手が俺のパーカーを握り締めていた。
ひゅっと喉が鳴る。体を強ばらせたその時、その手の続く先に小さな子がいることに気付いた。
(あ…普通に実体じゃん…。)
ひとまずほっと息をついた。良からぬもんではなかった。しかし、この子は誰だろうか。
サラサラの黒いショートヘア。大きな黒曜石のような瞳。白く艶やかな肌。人形のように整ったその顔には、何故だか不安そうな表情が宿っている。
(もしかして迷子…？俺こんな子知らないもんな。一応聞いてみるだけ聞いてみるか。)
怖がられたり嫌われたら傷付きそう、なんて思いながら、視線を合わせるためにしゃがみ込む。
ぴ｢えっと…どこから来たの？お母さんは？｣
その子は暫く俺の顔をじっと見ていた。しかし、気付くとその目には溢れんばかりの雫が溜まっていて…。
え？
ぴ｢え、なん…。｣
待って、俺なんもしてなくない！？
そう言おうとした時、その子はぽろぽろと涙を零しながら一言。
『ぴくとさん…。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽいぽい(プロフ) - しろねこ＠さん» 返信お待たせしましたすみません！ありがとうございます！今世間がこんな感じなので、もっとペース上げて更新していけたらなと思ってます！頑張って更新しますね！ (2020年5月6日 17時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろねこ＠(プロフ) - え、好きです。(唐突)毎回更新楽しみにしてます！！これからも頑張ってください！ (2020年5月4日 1時) (レス) id: 53106b9150 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - スクルドさん» 初コメありがとうございます！実況って見てて笑顔になれるものなので、実況者さん達の賑やかで明るい感じが表現出来たら嬉しいです！お褒め頂き光栄です！更新頑張ります！ (2020年4月4日 13時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
スクルド - 初コメント失礼致します。1からずっと読んでいました。どの方々も口調やリアクションが本当に忠実に再現されており、実況というジャンルが本当に好きなのだなと思いました。拙い文章で申し訳ありません。これからも応援しています。体調に気をつけて執筆頑張って下さい (2020年4月4日 0時) (レス) id: 18ecd837a8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 菜の花さん» ありがとうございます！更新めっちゃサボってしまったすみませぬ…。頑張ります！ (2020年1月29日 14時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年12月10日 22時
